T-28中戦車

T-28中戦車

T-28は、ソビエト連邦における歴史的な中戦車であり、1933年に制式化されました。この戦車は、ソ連初の多砲塔式戦車として知られ、世界で最も多数生産された多砲塔戦車として503輌が製造されました。その独特なデザインと技術は、当時の戦車開発において革新をもたらしました。

開発経緯

T-28の開発は、T-35重戦車の設計と並行して進められました。具体的には、A6中戦車とMK.II中戦車の設計要素を参考にし、1932年には試作車が完成しました。この試作車には暫定的に45mm戦車砲が搭載され、1933年2月には10輌が生産されました。これらのモデルはメーデーパレードで公開され、同年8月に正式にT-28中戦車として制式化されました。

T-28は当時の最新技術を採用しており、サスペンション系は珍しい構造を持ち、小さな転輪を縦スプリングで支える方式が採用されました。また、砲塔は電動旋回機構を取り入れ、砲安定装置も装備されていました。箱型の長大な車体は、機関系が占める面積が多く、重心が低く保たれていました。1933年モデルでは、76.2mm砲を主砲として搭載した3つの砲塔が特徴です。

バリエーション

T-28は初期モデルから最新型までさまざまなバリエーションが存在します。例えば、1933年型は最厚部で30mmの前面装甲を備えていましたが、1938年版であるT-28Bは砲身長を増加させ、操縦席にバイザーが追加されています。続く1939年型のT-28Eでは、防御力が強化され60mmの前面装甲を持つ一方、重量が増加し動きが鈍くなりました。

1940年型では、傾斜装甲が導入され、円錐型の砲塔に変更されました。さらに、対空防御用にP-40機関銃が標準装備され、多砲塔戦車としての性能は大きく向上しました。

実戦と運用

T-28は1939年の冬戦争で初めて実戦投入されました。この戦闘では、森林や雪原での運用が多く、防御力が30mmと限られていたため、フィンランド軍の対戦車砲による損失が多発しました。しかし、改良が進んだことで、独ソ戦においてはT-28は独立戦車大隊に配備され、戦闘を展開しました。特に1941年7月には、敵戦車を撃破するなど局地的な勝利も収めています。

また、フィンランド軍は冬戦争時にT-28を鹵獲し、自軍の戦車部隊に配備しました。継続戦争では、旧式化していたにもかかわらずT-34-85を撃破する実績も残し、フィンランド軍にとって貴重な戦力として活躍しました。

登場作品

T-28は多くのゲームやメディアで見ることができます。たとえば、ゲーム『War Thunder』や『World of Tanks』ではプレイアブル車両として登場し、また漫画『ガールズ＆パンツァー プラウダ戦記』にも登場します。これにより、T-28の知名度とその歴史的意義が後世に伝えられています。

結論

T-28中戦車は、ソビエト連邦の戦車開発史において重要な位置を占める戦車です。その多砲塔設計と数々のバリエーションは、当時の戦車技術の進歩を示すもので、今日でも多くの人々によって注目されています。

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