T-4 (航空機)

T-4: ソ連の超音速爆撃機

T-4（ロシア語:T-4）は、ソ連のスホーイ設計局によって試作された超音速爆撃機であり、機体の総重量は約100トンとなっており、また「製品100」や愛称「сотка」（Sotka）でも知られています。NATOによる正式なコードネームはないものの、アメリカ国防総省によりラム-H（Ram-H）という名前が付けられていました。モニノ空軍博物館ではSu-100と表示されており、展示されています。

開発の経緯

1960年代初頭、戦略的な偵察機を兼ねた高高度爆撃機の開発が求められ、スホーイ、ヤコヴレフ、ツポレフの三つの設計局が競い合いました。この結果、要求性能を満たしたT-4が選ばれ、1964年に国家航空機技術委員会による審査を通過しました。続いて、TsAGIでの風洞実験が実施され、Su-7UやSu-9の改造機を用いて30以上の設計案が作成されました。

1971年に飛行1号機が完成し、次の年には初飛行を成功させました。当機は運用においていくつかの問題を抱えていましたが、他の機体も発注されていました。しかし、1974年の飛行試験を最後に計画が中止となりました。これは空軍の要求に応じたMiG-23の大量発注が優先されたためです。

機体の特徴

T-4の設計には、伝統的なアルミニウム合金の代わりにチタン合金が使用されており、高高度での空力加熱に耐えられる設計が施されています。また、操縦にはソ連初のフライ・バイ・ワイヤシステムが採用され、4重の全自動方式を備えています。エンジンはRD-36-41ターボジェットを4基搭載し、特殊な燃料RG-1を使用しています。

機首には独特な機構があり、着陸時の視界を向上させ、超音速飛行時の空気抵抗を削減するための設計が施されています。このため、機首は700km/h以下で飛行している際に下げることが可能です。ただし、機首上げの状態では視界が大幅に制約され、計器飛行が基本となり、パイロットは補助的に潜望鏡を使用しました。

機体バリエーション

T-4にはいくつかの派生型があります。まず、T-4Mは可変後退翼型として開発が進められましたが、設計上の課題によりT-4MSへと改変されました。このT-4MSは新しい設計に基づくもので、最高速度マッハ3を達成するための努力がなされましたが、開発は凍結されました。

さらに、T-4Pという旅客機型も計画されましたが、こちらも設計案の段階で他の競合案に敗れ、実現には至りませんでした。T-4はその後、1976年に正式に退役扱いとなり、1982年にはモスクワの空軍中央博物館に移され、現在も多くの人々に展示されています。

スペック

• - 全長: 44.5 m
• - 翼幅: 22 m
• - 全高: 11.19 m
• - 翼面積: 295.7 m²
• - 空虚重量: 54,800 kg
• - 通常積載重量: 128,000 kg
• - 最大離陸重量: 136,000 kg
• - 最大速度: 3,200 km/h
• - 上限高度: 20,000 m
• - 航続距離: 7,000 km
• - エンジン: RD-36-41 ターボジェットエンジン × 4
• - 推力: 各165 kN（16,200 kgf）

このように、T-4はその独特な設計と複雑な歴史を持つ爆撃機であり、多くの航空技術の革新を促しました。

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