T-6 (航空機・初代)

T-6 テキサン (Texan)

T-6 テキサンは、アメリカのノースアメリカン社によって製造されたレシプロ高等練習機であり、1930年代から1960年代にかけて幅広い国々で使用されました。この航空機は、特に第二次世界大戦中および戦後において、多数のパイロットの育成に貢献しました。

機体の概要

T-6の設計は、1935年4月1日に初飛行したNA-16にさかのぼります。NA-16は低翼単葉のタンデム複座式であり、その基本的な形状が確立されましたが、当初のモデルでは主脚は固定式でした。この機体は後にアメリカ海軍といくつかの国への輸出の際に改良が加えられ、BT-9やNJ-1としても採用されました。さらに、TA-26というモデルが開発され、武装搭載が可能な機体として進化しました。

さらに改良が進み、全金属製のBC-1Aが登場。この機体は高等練習機としてのAT-6に統合され、その後アメリカ海軍でもSNJという名称で運用されるようになりました。特に、この機体はイギリス連邦諸国の大量生産によるパイロット育成の中心的な存在となり、テキサス州ダラスには生産工場が設立されることになります。ここから「テキサン」と呼ばれるようになりました。

戦争での使用

テキサンは、単なる操縦訓練にとどまらず、対地攻撃や偵察、救難活動などの多岐にわたる任務に使用されました。1942年7月には通商破壊戦を展開するドイツの潜水艦を撃沈するなど、実戦においてもその能力を発揮しました。第二次世界大戦後はT-6Gとして生まれ変わり、標準練習機として再利用されました。

朝鮮戦争においては、「モスキート・ミッション」と呼ばれる特殊任務に従事し、敵後方への低空侵入に使用されました。こうした活動により、T-6は多くの国の軍隊によって利用され続け、特にフランスではアルジェリア戦争で対地攻撃に用いられました。さらに、第一次中東戦争でもイスラエルやシリアによって軽攻撃機として運用され、1970年代に至るまで継続使用されていました。

最終的な使用と保存

最終的には、T-6は40以上の国々で使用され、総生産数は15,495機にも達しました。一部の国では1990年代まで現役でしたが、現在でも多くの機体が保存されており、エアショーなどでその姿を見ることができます。かつての訓練機や民間機が改装されて飛行可能な状態で残ることもあり、特定のイベントでは専用の部門が設けられることもあります。

日本における運用

日本では1955年から航空自衛隊に供与され、167機のT-6D/F/Gが航空自衛隊に、海軍型のSNJ-5/6が海上自衛隊に配備されましたが、1960年代にはT-1に置き換えられました。退役後、大切に保存された機体も多く、特に静浜基地には現存する唯一の飛行可能機体が保管されています。退役機は映画『トラ・トラ・トラ!』の撮影にも使われました。

T-6 テキサンの歴史は、単なる航空機以上に、その設計哲学と用途の多様性を示しており、多くの市民にとっても親しみのある存在となっています。

もう一度検索