T.M.H.R.

T.M.H.R.：奇跡のコラボレーションから生まれたコーラスユニット

2011年、エステーの消臭剤「消臭力」のCMがきっかけで、西川貴教、島谷ひとみ、そしてポルトガルの少年歌手ミゲル・ゲレイロという、異色の3人組コーラスユニット、T.M.H.R.(タカノリ・ミゲル・ヒトミ・レボリューション)が誕生しました。それぞれの経歴と才能が交差する、この奇跡のコラボレーションの軌跡をたどってみましょう。

ミゲルからの始まり：CMソング「消臭力のうた」

T.M.H.R.結成の始まりは、2011年に放送された、ポルトガルの少年歌手ミゲル・ゲレイロを起用した「消臭力」のCMです。東日本大震災直後という社会情勢を考慮しつつ、リスボンをロケ地に選び、ミゲルの透き通る歌声で「消臭力のうた」が届けられました。このCMは、爽やかな歌声と意外性のある展開で高い評価を受け、CM好感度ランキングでも上位にランクインする人気を博します。

西川貴教の参加：「夢の共演」篇

ミゲルのCMを見た西川貴教が、自身のTwitterで「消臭力のうた」を完コピしたことを報告。そのツイートをきっかけにエステーの担当者と連絡がとれ、西川もCMへの出演を快諾。急遽、西川とミゲルによるデュエットCM「夢の共演」篇が制作されました。西川のライブ会場でのサプライズ共演という演出も話題を呼び、CM好感度ランキングで1位を獲得するなど大きな成功を収めます。

島谷ひとみの加入と「チカラにかえて」

翌2012年、T.M.H.R.は、島谷ひとみの加入によって3人体制となります。島谷は、エステー協賛のミュージカル『赤毛のアン』への出演経験があり、西川とも以前から共演歴がありました。

3人による新CMソング「チカラにかえて」は、「歌のチカラ」を多くの人に届けたいという制作陣の思いから生まれました。CMの撮影は、西川にとっても思い入れのある福島県いわき市で行われ、震災からの復興を象徴する場所として選ばれました。西川のライブにサプライズゲストとして島谷とミゲルが登場し、「チカラにかえて」を合唱する感動的な演出は、多くの視聴者の心を掴みました。

このCMも高い評価を受け、CM好感度ランキングで1位を獲得。さらに、楽曲の配信やCD化を望む声が多数寄せられ、T.M.H.R.の知名度をさらに高めるきっかけとなりました。

「チカラにかえて」：楽曲の魅力とリリース

「チカラにかえて」は、CMソングとしてだけではなく、単独の楽曲としても高い完成度を誇ります。作詞にはCM制作に携わったエステーの鹿毛康司も参加し、楽曲の世界観をより深く表現することに貢献しました。

デジタル配信、そしてCDシングルとしてリリースされた「チカラにかえて」は、CMバージョンとは異なるアレンジが施され、3人のハーモニーがより際立つ仕上がりになっています。カップリングには「消臭力のうた」と、2曲のカラオケバージョンが収録され、幅広い層に受け入れられる作品となりました。

島谷ひとみのライブで、西川とミゲルがサプライズゲストとして登場し、「チカラにかえて」のアコースティックバージョンが披露されたことも、楽曲の人気を示すエピソードです。

T.M.H.R.の活動と影響

T.M.H.R.は、消臭剤のCMという枠を超え、音楽シーンに大きなインパクトを与えました。異色のメンバーによるコラボレーション、そして「チカラにかえて」という感動的な楽曲は、多くの人に勇気と希望を与えたと言えるでしょう。その活動は、企業とアーティストの新たなコラボレーションの可能性を示しただけでなく、音楽の持つ力、そしてCMの持つ可能性を改めて認識させてくれました。

T.M.H.R.の活動は、音楽史に刻まれる、記憶に残るプロジェクトと言えるでしょう。

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