T18装甲車

T18重装甲車：戦場に出ることのなかったアメリカ製重装甲車

T18重装甲車は、第二次世界大戦中にアメリカ合衆国で開発された装輪装甲車です。イギリス陸軍によって少数が使用されました。愛称は「ボアハウンド（Boarhound）」、猪狩りに用いられる大型の猟犬を意味します。

開発の経緯

1941年7月、アメリカ陸軍武器科はイギリスへの供給を目的とした重装甲車の仕様を提示しました。この仕様に基づいて開発されたのがT18重装甲車です。同時期には、より軽量なT17装甲車の仕様も提示されています。

試作車両はイエロー・コーチ・カンパニーによって1942年に開発されました。ドイツのSd.Kfz.231 8輪重装甲車に対抗するため、8輪全てが駆動する8x8の駆動装置を備え、前方の4輪はステアリングに使用されました。重装甲のため車重は26トンに達し、当時の中戦車に匹敵する重さでした。

構造と武装

当初の武装は、砲塔にM6 37mm砲と同軸の.30口径機関銃、そして前方銃座にもう1挺の.30口径機関銃を備える構成でした。しかし、37mm砲の対戦車能力不足が判明し、量産型であるT18E2ではM1 57mm砲を搭載することになりました。この57mm砲は、イギリスのオードナンス QF 6ポンド砲をアメリカでライセンス生産したものです。イギリス軍に受領されたT18E2は、「ボアハウンド」と呼ばれました。

運用と終焉

アメリカ陸軍はこの車両に関心を示さず、イギリス陸軍は2,500両を発注したものの、北アフリカ戦線の終結と、装甲車に不向きな山岳地帯の多いイタリア戦線への移行、さらに高価な製造コストと貧弱な踏破性能が問題となり、実際に配備されたのは30両のみで、発注は撤回されました。T18重装甲車は、結局一度も戦闘に投入されることはありませんでした。

現存する唯一の車両は、イギリスのボービントン戦車博物館に展示されています。

派生型

T18: 37mm戦車砲を搭載した原型車両。
T18E1: 6輪型。開発は中止されました。
T18E2: 57mm戦車砲を搭載した型式。

参考文献

SNL G133
George Forty - World War Two Armoured Fighting Vehicles and Self-Propelled Artillery, Osprey Automotive.
Haugh, David T18E2 data sheet Warwheels.net

関連項目

補給カタログ名称によるアメリカ陸軍車輌一覧。通称Gナンバーズ。

外部リンク

Warwheels.net

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