オードナンス QF 6ポンド砲とは？意味をやさしく解説

オードナンス QF 6ポンド砲

オードナンス QF 6ポンド砲（Ordnance Quick-Firing 6-pounder 7 cwt）は、第二次世界大戦初期にイギリスで開発された対戦車砲であり、その優れた性能から戦車砲としても広く用いられました。また、アメリカ軍はM1 57mm砲としてライセンス生産し、連合国軍の戦力増強に貢献しました。

開発

イギリス陸軍は、2ポンド砲の陳腐化を予測し、1938年からより大口径の対戦車砲の開発を開始しました。1940年には砲本体が完成しましたが、砲架の完成が遅れ、1941年まで配備がずれ込みました。当初は2ポンド砲からの更新を予定していましたが、フランス戦での敗北により、重火器を放棄せざるを得なくなり、2ポンド砲の生産が優先されました。そのため、6ポンド砲の生産開始は1941年11月、配備開始は1942年5月まで遅れることになりました。

初期生産型の砲身は43口径でしたが、ドイツ戦車の装甲強化に対抗するため、Mk.IVからはマズルブレーキ付き50口径砲身が採用されました。しかし、ティーガーI重戦車やパンター中戦車には正面からでは対応が難しく、更なる性能向上計画は中止されました。

初期の砲弾は徹甲弾のみでしたが、1943年には榴弾が開発されました。また、口径を42.6mmに絞るスクイーズ・ボア・アダプターも開発されましたが、実際に使用されることはなく、代わりに1944年からはAPDS弾が供給されました。1943年2月にはより強力な17ポンド砲が配備されましたが、6ポンド砲は軽量であるため、朝鮮戦争や第二次中東戦争でも使用され、1960年に退役するまで運用されました。

運用

イギリス軍では、機甲師団や歩兵師団の対戦車砲連隊に配備されました。後には、歩兵大隊の対戦車小隊に6門を配備する方式に改められました。アメリカ軍も北アフリカ戦線での37mm砲の無力さを痛感し、1943年にM1 57mm砲として制式採用し、主にイタリア戦線や西部戦線で使用しました。イスラエル国防軍も第一次中東戦争や第二次中東戦争で使用しました。

戦車砲として

6ポンド砲は、対戦車砲としてだけでなく戦車砲としても活躍しました。主な搭載戦車には、クルセーダーMk.III、キャバリエ巡航戦車、セントーMk.I&Mk.II、クロムウェルMk.I-III、ラムMk.II、バレンタインMk.VIII-X、チャーチルMk.III&Mk.IVなどが挙げられます。また、ベッドフォードQLやCMPトラック、AECマタドールトラックの荷台に搭載したガン・ポーティも製作され、特にディーコン対戦車自走砲は175両が生産され、北アフリカ戦線で活躍しました。アメリカでは、M3ハーフトラックにM1 57mm砲を搭載したT48 GMCも量産されました。ソ連軍にはSU-57としてレンドリース供与され、実戦に参加しました。

砲弾

6ポンド砲は、徹甲弾、榴弾、APDS弾など、様々な種類の砲弾を使用しました。特にAPDS弾は、高い装甲貫通力を持ち、敵戦車への有効な攻撃手段となりました。

登場作品

6ポンド砲は、多くのフィクション作品にも登場し、その存在感を示しています。

テレビドラマ

『コンバット!』：ドイツ軍の対戦車砲として登場し、アメリカ軍戦車を撃破するシーンが描かれています。

漫画

『戦場まんがシリーズ』：「鉄の墓標」に登場し、九七式中戦車を撃破するシーンがあります。
『戦場ロマン・シリーズ』：「王者（ファラオ）の砂丘」に、ベッドフォードQLガン・ポーティ搭載の6ポンド砲が登場します。III号戦車を擱座させ、ティーガーIIに直撃を与えるも効果がないシーンが描かれています。

ゲーム

『R.U.S.E.』：アメリカの対戦車砲として登場します。
『War Thunder』：イギリス戦車に多数搭載されている他、ソ連の課金戦車SU-57にも搭載されています。
『バトルフィールドV』：各マップに固定武器として設置されています。
『パンツァーフロント』：無印では操作できませんが、『bis』ではコンストラクションモードで操作可能です。

オードナンス QF 6ポンド砲