TEAM INNOCENT -The Point of No Return-

『TEAM INNOCENT -The Point of No Return-』：禁断の遺伝子操作と少女たちの運命

1994年12月23日、ハドソンよりPC-FX用ソフトとして発売された『TEAM INNOCENT -The Point of No Return-』（チーム・イノセント -ザ・ポイント・オブ・ノー・リターン-）は、PC-FX本体と同時発売された注目作です。

本作は『アローン・イン・ザ・ダーク』などに代表される客観視点の3Dアドベンチャーゲームですが、PC-FXのハードウェア特性を活かし、3DCGで描かれた背景に2Dのスプライトキャラクターを表示するという、当時としては斬新な手法を採用しています。さらに、セルアニメーションと3DCGを組み合わせたムービーが随所に挿入され、ゲームに深みを与えています。

未来社会と遺伝子操作の闇

物語の舞台は、人類が太陽系外に進出し、銀河系各地に惑星国家や星系国家を築き上げた未来。惑星開拓や開発の困難さを克服するため、バイオテクノロジーは社会に不可欠なものとなっていました。しかし、その発展の裏には、危険な影が潜んでいました。

バイオテクノロジーの第一人者、クロノス＝エンハンサーは、人類の遺伝子操作という禁断の領域に手を染めます。彼の行為は銀河中央警察機構（GCPO）によって摘発され、逮捕へと繋がりました。その際、クロノスは数多くの遺児の標本と共に、3人の少女を発見されます。彼女たちはクロノスによって遺伝子操作された存在、バイオチャイルドだったのです。

GCPOは、彼女たちの存在が社会に大きな影響を与えることを懸念し、その存在を隠蔽します。

特殊機関「TEAM INNOCENT」の誕生

数年後、少女たちはそれぞれ、並外れた特殊能力を身につけて成長します。GCPOのシグルス＝グラント司令官は、彼女たちの能力を活かすため、特殊機関「TEAM INNOCENT」（通称T・I）を創設。少女たちは、その高い能力を駆使し、様々な任務をこなしていくことになります。

しかし、ある日、彼女たちに新たな任務が下されます。その任務は、彼女たちの運命、そして存在意義を問う、大きな事件の始まりでもありました。

個性豊かなキャラクターたち

物語を彩る主要キャラクターたちは、それぞれに個性と魅力を持っています。

沙姫: 現場に出るチームメンバー。生物の思念を音波として感知する能力を持つ一方、自分の出自へのコンプレックスから感情的に振る舞うことも。
リリス: 指揮やコンピュータオペレーションを担当。常に高い脳活動率を維持し、論理的で的確な指示を出すが、その反面、人間性に欠ける面も。
エリアル: メカニック担当。触手を使って機械の動力を的確に判断し、あらゆる機械を自在に操る。チームが使用する艦船や兵器は、全て彼女の手によるもの。
シグルス＝グラント: GCPO司令官。クロノスを逮捕し、バイオチャイルドたちを保護、その後は保護者として彼女たちを支える。
* クロノス＝エンハンサー: バイオテクノロジーの第一人者。人類の遺伝子操作という禁断の行為を行い、GCPOに逮捕された、バイオチャイルドたちの生みの親。

スタッフ

豪華スタッフ陣も本作の魅力です。制作・総指揮に工藤祐司氏、監督・原作・脚本に荒井弘二氏、メインキャラクターデザインに都留稔幸氏、メカニックデザインに河森正治氏など、錚々たるメンバーが名を連ねています。音楽は川井憲次氏が担当し、ゲームの世界観をさらに盛り上げます。

『TEAM INNOCENT -The Point of No Return-』は、魅力的なキャラクター、重厚なストーリー、そして革新的な表現手法によって、多くのプレイヤーを魅了した名作です。現在では入手困難な作品ですが、その独特の世界観と高い完成度は、今もなお多くのファンを惹きつけています。

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