THE LIVING DEAD

BUMP OF CHICKEN|BUMP_OF_CHICKENのインディーズ2ndアルバム『THE LIVING DEAD』は、2000年3月25日にハイラインレコーズからリリースされました。その後、メジャーデビュー後の2004年4月28日にトイズファクトリーから再発され、多くのファンに愛され続けています。再発盤ではリマスタリングが施され、より高音質なサウンドで楽しむことができます。

アルバムは全編物語形式で構成されたコンセプトアルバムであり、収録曲全体で一つの壮大な物語が展開されます。楽曲の作詞・作曲・レコーディングは、1999年秋から2000年春にかけての短期間に集中的に行われました。特にアルバム曲のレコーディングはわずか一週間程度というタイトなスケジュールの中で行われ、メンバーはメロディも歌詞もない状態でオケを録音し、そのインスト音源を聴きながら藤原基央が後からメロディと歌詞を付けるという独特なスタイルで制作されました。この異例な制作方法が、アルバムに独特の緊張感と創造性をもたらしています。

「Opening」と「Ending」は、元々存在していた楽曲「プレゼント」から抜き出され、アルバムの導入と締めくくりとしての役割を担っています。後に「プレゼント」は2008年に完全版としてレコーディングされ、アルバム『present from you』に収録されました。

アルバムタイトル『THE LIVING DEAD』は、当時のバンドが抱えていた苦悩や重圧を象徴する言葉として名付けられました。多忙なスケジュール、契約問題など、様々な困難に直面していた彼らは、まさに「生ける屍」のような状態だったと言います。ジャケットに描かれている男性は、カップリング曲『ラフ・メイカー』に登場するキャラクターであるという説があり、ファンの間で様々な解釈がなされています。

収録曲は以下の通りです。

1. Opening
2. グングニル
3. ベストピクチャー
4. 続･くだらない唄
5. ランプ
6. K
7. リリィ
8. Ever lasting lie
9. グロリアスレボリューション
10. Ending

楽曲解説

Opening: アルバムの導入となる短い楽曲で、ラフ・メイカーが泣いている「君」に語りかける場面が描かれています。アコースティックギター2本で演奏され、アルバム全体の物語の始まりを告げる役割を果たしています。
グングニル: 北欧神話に登場するオーディンの槍をモチーフにした楽曲で、力強いサウンドとメッセージが特徴です。
ベストピクチャー: 発表された全楽曲の中で唯一、直井由文が単独で作曲した楽曲です。ドラマ「天体観測」の挿入歌としても使用されました。
続･くだらない唄: 歌詞に登場する風景は、メンバーの故郷である佐倉市に実在する宿内公園がモデルではないかと言われています。
ランプ: 1stシングルとしてリリースされた楽曲で、アルバムに収録されているものと同一です。
K: 黒猫を主人公にした物語風の楽曲で、ライブでも定番の曲となっています。アーケードゲームにもロングバージョンが収録されました。
リリィ: 藤原基央がラブソングであると公言している楽曲で、「バトルクライ」との関連性も指摘されています。
Ever lasting lie: 8分を超える大作で、アコースティックバージョンがシングル「アルエ」のカップリングに収録されています。長い時の流れを表現した壮大な楽曲です。
グロリアスレボリューション: 英語歌詞時代の楽曲で、後に日本語の歌詞が付けられました。ライブでは本編の最後に演奏されることが多い楽曲です。PVは直井由文の実家で撮影されました。
Ending: 「Opening」で登場した人物が、物語を読み終えた「君」に語りかける場面が描かれています。アコースティックギター2本で演奏され、アルバム全体の物語を締めくくる役割を果たしています。

アルバムの最後には隠しトラックとして「THE LIVING DEAD」が収録されています。この曲は一般的な歌ではなく、演奏が流れつつ増川弘明がイジられるという内容のコミカルなトラックです。

『THE LIVING DEAD』は、BUMP OF CHICKEN|BUMP_OF_CHICKENの音楽性を深く理解するための重要な作品であり、彼らの成長過程を知る上でも欠かせない一枚です。

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