TI-92シリーズ

TI-92シリーズ：高度な数式処理機能を備えたグラフ電卓

TI-92は、テキサス・インスツルメンツ社が1995年に発売した、QWERTYキーボードを搭載した大型グラフ電卓です。その独特なキーボード配列が、アメリカのテスト機関で「コンピュータ」とみなされる要因となり、SATなどの試験でTI-89シリーズが使用できる一方で、TI-92の使用は認められませんでした。しかし、その高度な機能は教育現場で重宝され、後継機種へと進化を遂げていきます。

オリジナル版：TI-92

TI-92は、テキサス・インスツルメンツ社が初めて記号計算機能を搭載した電卓であり、DeriveTMをベースとした数式処理システムを備えています。また、3次元グラフ表示を可能にした最初の電卓の一つでもあります。しかし、QWERTYキーボードの存在が、多くの標準テストでの使用を妨げる要因となりました。さらに、他のグラフ電卓と比較して大型であるため、携帯性にも課題がありました。

テキサス・インスツルメンツは、これらの課題に対応するため、TI-92と類似の機能を持ちながら、フラッシュメモリの追加やRAMの増強、QWERTYキーボードを廃止した小型のTI-89を開発しました。その後、TI-89にQWERTYキーボードを搭載したTI-92 Plusが後継機種として登場しました。さらに、フラッシュメモリ容量を増強し、より小型で軽量化されたVoyage 200へと進化を遂げました。

現在、TI-92はテキサス・インスツルメンツやその販売店では販売されておらず、入手は困難となっています。

TI-92 Plus

TI-92 Plusは、1998年に発売されたTI-92の後継機種で、ソフトウェア面ではTI-89とほぼ同一です。先代のTI-92と同様の外観を維持しつつ、フラッシュメモリの追加と、TI-89で初めて採用された見やすい黒色のスクリーンを搭載しました。

2002年以降、TI-92 PlusはVoyage 200に後を譲り、テキサス・インスツルメンツやその販売店では販売を終了しています。

Voyage 200

Voyage 200は、2002年にTI-92 Plusの後継機種として発売されました。フラッシュメモリ容量が2.7MBに増強された点が主なハードウェアの改善点です。また、デザイン面では、筐体が幾分小型化され、丸みを帯びた形状に変更されました。

Voyage 200は、複数の関数プロット、数列表示、パラメータ表示、極座標表示、3D表示、微分方程式のグラフ化など、高度な機能を備えたグラフ電卓です。数式処理システムはDeriveの機能を削減したものをベースとしています。代数と微積分の計算に加え、リスト、スプレッドシート、データ処理アプリケーションが同梱されており、多数の標準的な関数の曲線当てはめや、統計解析処理が可能です。TI-89やTI-92向けのプログラムもほとんど動作します。ゲームから対話的な元素周期表まで、様々なアプリケーションがオンラインで入手可能です。

Voyage 200は、大型の筐体とQWERTYキーボードを搭載しているため、PDAや小型コンピュータと誤解されやすいことがあります。そのため、アメリカのACTやSATなどの試験では使用が認められていません。TI-89 Titaniumは、より小型でありながら、ほぼ同様の機能を提供しています。

Voyage 200は、テキサス・インスツルメンツの認定販売店を通じて入手可能で、価格は約170アメリカドルです。

特徴

TI-92 Plusの利用可能なフラッシュメモリ量については、公式ページでは702KBとされていますが、一部の情報源では388KBとされています。この差は、Geometer's SketchpadがプリインストールされたTI-92 Plusに起因するものです。

外部リンク

Tout pour la Ti89
正式文書：Voyage 200の特徴
TIGCC - TI-89/TI-92 Plus/Voyage 200用Cコンパイラ・IDE
ticalc.org - プログラムと他のリソースの最大コレクション
TiEmu - 強力なTI-89/TI-92/Voyage 200グラフ電卓エミュレータfor Linux, Windows, Mac OS X
はじめての数式処理電卓 Voyage 200 - Voyage 200 による高校数学の計算例

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