TIME (レベッカのアルバム)

レベッカ5作目のアルバム『TIME』：ポップサウンドとバンド魂の融合

1986年、レベッカは5枚目のアルバム『TIME』をリリースしました。このアルバムは、バンドにとって転換期となる作品であり、その制作過程やサウンド、そして後のレベッカの活動に大きな影響を与えました。

前作リリース後の1986年5月にはシングル「RASPBERRY DREAM」を発表し、夏のツアーを終えた後、古賀森男が脱退。レベッカはギター不在という状況に直面します。しかし、バンドは活動を停止することなく、ゲストギタリストを迎えてアルバム制作に乗り出しました。

このアルバム制作には、横内健亨（現・横内タケ）、平井光一といった実力派ミュージシャンが参加。横内健亨は、ウォッカ・コリンズ、佐野元春 with THE HEARTLANDなどで活躍したギタリストであり、平井光一は元PANTA&HALのメンバーです。彼らとのコラボレーションによって、『TIME』は個性的なサウンドを獲得しました。アルバム制作中には、先行シングルとして「LONELY BUTTERFLY」、そして翌年には「CHEAP HIPPIES」が12インチシングルとしてリリースされました。

アルバム完成後には、元AUTO-MODの友森昭一が正式にギタリストとして加入しますが、短期間で脱退。その後、レベッカは1991年の解散、そして再結成後も、正式なギタリストを迎え入れることはありませんでした。サポートギタリストである是永巧一がレコーディングやライブに参加する体制が確立されたのです。

『TIME』は、1986年10月25日にCBS・ソニーのFITZBEATレーベルよりLP、CD、カセットテープの3形態でリリースされました。その後、1994年、2007年、2013年と幾度かの再リリースが行われ、現在でも多くのファンに愛されています。1994年の再リリースはCDのみ、2007年にはリマスターされたCDが紙ジャケット仕様の完全生産限定盤として、さらに2013年にはBlu-spec CD2としてリリースされました。これらのリリースは、アルバムの価値を再認識させ、新たなリスナーを獲得するきっかけとなりました。

音楽評論家の評価も高く、特にNOKKOのボーカルは絶賛されています。CDジャーナルは、「NOKKOの存在は大きく、そのベイビー・ヴォイスの魅力が光っている」と評し、サウンドに関しても「極上のポップ・チューンが楽しめる」「バンドのサウンドを前面に打ち出そうとしている」と肯定的な評価を与えています。キャッチコピーの「理屈じゃなくて…」「退屈も、窮屈も、みんなまとめてゴミ箱行きだ」にも表れているように、本作は、型にはまらないレベッカの音楽性を象徴する作品と言えるでしょう。

参加ミュージシャンは、NOKKO（ボーカル）、Dobashi Akio（シンセサイザー）、高橋則幸（ベース）、小田原豊（ドラムス）というレベッカの主要メンバーに加え、前述のゲストギタリストたちが名を連ねています。

『TIME』は、レベッカの音楽史において重要な位置を占める作品です。ゲストミュージシャンとのコラボレーション、そしてバンドとしてのアイデンティティを追求したサウンド、そしてNOKKOの圧倒的なボーカルは、多くのリスナーを魅了し続けています。時代を超えて愛される、レベッカの代表作の一つと言えるでしょう。

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