TJM3 (エンジン)

TJM3 ターボジェットエンジン

TJM3は、三菱重工業が開発した標的機用の小型ターボジェットエンジンです。これにより、日本の航空自衛隊は外国製の訓練用標的機から国産の技術へと転換を図りました。

開発の背景

従来の訓練用標的機は、海外から輸入されてきましたが、国産開発の必要性が高まり、TJM3の開発が1984年（昭和59年）に始まりました。このエンジンは、富士重工業製の機体であるJ/AQM-1と共に、1987年（昭和62年）に量産が開始されました。

技術的特徴

TJM3は、地対艦ミサイルのサステナエンジン「J4-1」を基盤にして設計されており、その特性を活かすために多くの工夫が施されました。特に、空中での運用を考慮し、30,000フィートの高空でも問題なく始動し、運用できるように制御アルゴリズムが改善されています。これにより、訓練用標的機としての機能性が大幅に向上しました。

さらに、エンジンの部品点数が減少され、製造コストの低下も実現しています。これにより、国産でありながらも、経済的な利点を持つエンジンが実現しました。

高空試験の課題

当時、日本国内には高空での試験を行うための大規模な試験設備が存在しなかったため、TJM3の高空性能や着火性を確認するために、エジェクタを使用した簡易高空試験装置が設置されました また、ドイツのシュトゥットガルト大学にある高空試験装置も利用され、日本の技術者が高空特性を詳細に評価する貴重な機会となりました。

仕様

• - 形式: 1軸ターボジェットエンジン
• - 圧縮機: 遠心一段
• - 燃焼器: 逆流式アニュラー型
• - タービン: 軸流一段

このように、TJM3は、航空自衛隊の標的機運用において重要な役割を果たしているエンジンであり、国産開発の成功例の一つと言えるでしょう。これによって、国内の防衛力や技術力が向上し、自立した航空防衛の実現に寄与しています。

参考文献

長谷川清「ターゲットドローン（標的機）用エンジン」『日本ガスタービン学会誌』第29巻、第4号、315-317頁、2001年7月。リンク

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