TLC (グループ)

TLC：90年代を席巻したR&Bトリオの栄光と悲劇

TLCは、T-Boz（ティオンヌ・ワトキンス）、Left Eye（リサ・ロペス）、Chilli（ロゾンダ・トーマス）の3人組女性R&Bグループとして、1990年代に世界的な人気を博しました。パワフルな歌声と洗練された楽曲、そして個性的なメンバーそれぞれの魅力が融合し、数々のヒット曲を世に送り出しました。グループ名はメンバー3人のニックネームの頭文字と「Tender Loving Care」に由来しています。

華々しいデビューと数々のヒット

当初は別のメンバー構成で活動していましたが、現在の3人体制になってからLaFace Recordsから1992年にデビュー。デビューシングル「Ain't 2 Proud 2 Beg」を皮切りに、2ndシングル「Baby-Baby-Baby」が全米チャート2位、R&Bチャート1位を記録するなど、瞬く間に人気を獲得しました。デビューアルバム『Ooooooohhh... On the TLC Tip』は全米で500万枚以上のセールスを記録する大ヒットとなり、日本でも20万枚を売り上げました。

飛躍と成功：セカンド・アルバム『CrazySexyCool』

1994年にリリースされたセカンドアルバム『CrazySexyCool』は、TLCのキャリアにおける転換期となりました。リードシングル「Creep」から始まり、「Red Light Special」、「Waterfalls」と立て続けにヒットを連発し、「Waterfalls」は全米チャートで7週連続1位を獲得するメガヒットとなりました。ミュージックビデオも当時最先端のSFXを駆使したもので大きな話題を呼びました。アルバム全体も大成功を収め、1,000万枚以上のセールスを記録、第38回グラミー賞では「最優秀R&Bアルバム賞」を受賞しました。

メンバーそれぞれの個性と苦難

メンバーそれぞれが強い個性を持っていたこともTLCの魅力でした。Left Eyeは、大胆なファッションセンスと奔放なキャラクターで注目を集め、一方、T-Bozはリーダーシップを発揮し、Chilliは安定した歌声でグループを支えました。しかし、その個性ゆえに、メンバー間の摩擦や、個々の私生活におけるトラブルも少なくありませんでした。Left Eyeは、私生活での問題やメンバー間の不仲説などが報じられることもありました。

『FanMail』の大成功と影

1999年にリリースされたサードアルバム『FanMail』も大成功を収め、全世界で1,000万枚以上のセールスを記録、日本でも100万枚を突破しました。このアルバムもグラミー賞を受賞し、TLCの地位を不動のものにしました。しかし、この頃にはメンバー間の不仲説が表面化し、Left Eyeのソロ活動への意欲の高まりなども報じられていました。

Left Eyeの死とその後

2002年、Left Eyeが交通事故により30歳の若さで亡くなりました。これはTLC、そして音楽界全体に大きな衝撃を与えました。残されたT-BozとChilliは悲しみの中、レフト・アイが既にレコーディングしていた音源も使用し、4thアルバム『3D』を完成させました。その後も活動を継続するものの、メンバーの健康問題や個人的な事情もあり、活動は断続的となっていきました。

復活と現在

その後、幾度かのメンバー交代や活動休止を経て、T-BozとChilliの2人体制で活動を続けています。2010年には来日公演を行い、2012年には「音楽へのめざましい貢献」を表彰する賞を受賞しました。2024年にはセカンドアルバム『CrazySexyCool』発売30周年を記念した来日公演も予定されています。

TLCの音楽的遺産

TLCは、その音楽性だけでなく、90年代のR&Bシーンにおける先駆的な存在としても評価されています。個性豊かなメンバー、キャッチーなメロディー、そして社会問題にも触れた歌詞など、TLCの音楽は多くのリスナーに影響を与え続け、現在も多くのアーティストにインスピレーションを与え続けています。

ドキュメンタリーと様々なメディア展開

Left Eyeの死の真相やグループの活動について、様々なドキュメンタリー番組や報道が制作されています。これらの映像作品は、TLCの輝かしい成功と、その陰に潜む葛藤を改めて浮き彫りにしています。また、公式ウェブサイトやSNSなどを通して、最新の活動情報や過去の楽曲なども楽しむことができます。

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