TOC (Hilcrhyme)

TOC（トク、ティーオーシー）とは

TOCは、1981年10月4日に新潟県上越市で生まれた日本のヒップホップMC、作詞家です。人気ユニット「Hilcrhyme」ではMCとしてマイクを握り、ほとんどの楽曲で作詞と作曲を担当しています。身長175cm、血液型はA型。プライベートでは既婚者であり、トレードマークのサングラス越しに独自の視点で紡がれるリリックは多くのリスナーの心を捉えています。

音楽キャリアの始まりと発展

TOCの音楽人生は、1999年に自身の名義「TOC」としてスタートしました。遡ること1981年、新潟県上越市に生を受けた彼は、幼少期から高校卒業まで剣道に励み、特に東京学館新潟高等学校では剣道部に所属していました。しかし、大学に進学後、学園祭で目にした先輩のラップパフォーマンスに衝撃を受け、ラップの道を志すようになります。

キャリアの初期には、MCテッペイと共に「DEVIATE」を結成し、デモ音源を制作・配布するなど活動を展開。その後、同郷であるラッパーのUSU a.k.a. SQUEZの誘いを受けてヒップホップクルー「NITE FULL MAKERS」に参加し、アルバムリリースや大型ヒップホップイベント「B BOY PARK」への出演を経験しました。並行して、2005年には当時クラブDJとして活動していたDJ KATSUと出会い、「Hilcrhyme」を結成。インディーズ時代に限定配布したデモアルバム『熱帯夜』は、地元新潟県内で大きな話題を呼びました。NITE FULL MAKERSからは2007年冬頃に脱退し、Hilcrhymeとしての活動に注力していきます。

Hilcrhymeでの成功とソロ活動の開始

2009年7月、Hilcrhymeはシングル『純也と真菜実』でユニバーサルJよりメジャーデビューを果たします。その後も『春夏秋冬』、『大丈夫』、『ルーズリーフ』といった楽曲が次々とヒットし、彼らの名は全国に知れ渡ることとなりました。

Hilcrhymeとしてのキャリアを確立する一方で、TOCは自身のルーツであるソロMCとしての活動も再開することを表明します。2012年10月、自身のブログでHilcrhymeと並行してTOC名義でのソロワークを展開していくことを発表。以降、他のアーティストの楽曲への客演参加や、ソロとしての単独作品のリリースを積極的に行います。2013年10月4日には、自身の誕生日を記念して両A面シングル『BirthDay/Atonement』をリリースし、本格的なソロ活動をスタートさせました。続く2014年には1stアルバム『IN PHASE』を発表し、初の全国ツアーも成功させています。

主宰レーベル設立、そしてソロでのメジャーへ

2016年に入ると、TOCは2ndアルバム『SAFARI PARK』をリリース。同年1月には自身の主宰レーベル「DRESS RECORDS」の設立を発表し、自らと弘Jr.が所属アーティストとして名を連ねることとなりました。同年2月に開催された全国ツアーの最終公演にて、TOC名義としてもメジャーデビューすることがサプライズ発表されます。そして同年8月30日、メジャーデビューシングル『過呼吸』をユニバーサルJからリリース。ソロ活動もメジャーフィールドへと移行し、さらに勢いを加速させました。

その後も精力的な作品発表とライブ活動を続け、2018年にはメジャー1stアルバム（通算3rdアルバム）となる『SHOWCASE』をリリースし、それに伴うツアーは全公演ソールドアウトを記録するなど、ソロアーティストとしての人気と実力を証明しました。以降も定期的にアルバムをリリースし、2023年6月にはソロ名義では初となるベストアルバム『TOC THE BEST』をリリースしています。

アーティスト像と多角的な活動

TOCの作詞スタイルは、Hilcrhymeとソロで異なるアプローチを取っています。Hilcrhymeでは、主にDJ KATSUが用意するトラックにTOCが作詞・作曲を行う「曲先」のスタイルが一般的です。テーマに基づいて制作される楽曲が多く、代表的なシングルに『ジグソーパズル』や『Kaleidoscope』などがあります。また、『春夏秋冬』や『純也と真菜実』のように実体験や身近な出来事を元にした楽曲も多く、リスナーからの共感を呼んでいます。中には、女性の視点で描かれた『Lost love song』や、歌詞カードに仕掛けを施した『Technical』のような遊び心溢れる作品も存在します。一方、ソロ楽曲ではHilcrhymeとしての表現とは一線を画す、より自身の内面やヒップホップ色を強く打ち出したスタイルを追求していると語っています。

音楽活動以外にも、TOCは様々な分野で活動しています。2018年からは地元FM-NIIGATAでレギュラーラジオ番組「トクベヤ」を担当。2022年にはテレビアニメ「ピーター・グリルと賢者の時間 Super Extra」で声優に初挑戦し、ケンジさん役を務めました。また、自身のオリジナルブランド「One Blood」も展開しており、その表現の幅は広がり続けています。

少年時代に剣道に打ち込み、大学でラップと出会い、Hilcrhymeとして国民的な人気を獲得しながらも、自身の根源であるソロMCとしての表現も追求し続けるTOC。サングラスの奥に見据える、独自の視点から生まれる音楽と活動は、これからも多くの人々を魅了していくことでしょう。

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