TOG 2重戦車

第二次世界大戦初期、泥濘地での戦闘を想定し、イギリスで開発された超重戦車TOG2。その開発には、第一次世界大戦で戦車開発に携わったベテラン技術者たちが集結したことから「The Old Gang（昔馴染み）」と呼ばれる委員会が中心となり、TOG1の後継車種として誕生しました。

TOG1と共通する特徴も多く持つTOG2ですが、最も大きな違いは主砲にあります。TOG2には、本車のために新規開発された強力なオードナンスQF 28ポンド砲（口径94mm）が搭載されました。これは、当時の戦車砲としては大口径で、高い火力を誇っていました。

また、TOG1では第一次世界大戦時代の戦車のような、履帯が車体全周を回る設計でしたが、TOG2では走行装置全体の高さが低く抑えられ、車体側面のドアは装軌部より上に配置されるなど、改良が加えられています。これは、車体の重心位置を下げ、安定性を向上させる狙いがあったと考えられています。

TOG2は1940年に発注され、フォスターズ・オブ・リンカーン社によって建造されました。試作車両は1941年3月に完成し、走行試験が行われました。TOG1と同様に、機械発電駆動方式（エンジンで発電しモーターで駆動する）を採用していますが、TOG2では2つの発電機を使用することで、電力供給の安定性を高めていました。また、TOG1で問題視されていた緩衝装置のない走行装置は、TOG2ではトーションバー懸架に変更されるなど、様々な改良が施されました。1943年4月には試験が成功裏に終わり、TOG2の性能の高さが証明されました。

しかし、TOG2は試作車1両のみの製造で、量産化には至りませんでした。その後、車体を短縮した改良型TOG2(R)の建造が検討されましたが、これも実現せず、TOG2の開発はここで終止符を打ちました。

現在、唯一現存するTOG2の試作車両は、イギリスのボービントン戦車博物館に展示されており、第二次世界大戦期の戦車開発史において重要な証言として、多くの人々を魅了し続けています。その独特な形状や、泥濘地での戦闘能力を重視した設計思想は、後の戦車開発にも影響を与えたと考えられています。

さらに、TOG2はいくつかのゲームにも登場しています。『World of Tanks』ではイギリス重戦車TOG II*として、『トータル・タンク・シミュレーター』では英国の超重戦車TOG IIとして、『War Thunder』ではイギリスの重戦車として実装され、多くのゲーマーにその存在が知られることとなりました。これらのゲームを通して、TOG2は再び脚光を浴び、その歴史的意義や独特の戦闘能力を、現代の人々にも広く知らしめています。 その存在感は、第二次世界大戦の戦車開発史における重要な1ページを彩るものと言えるでしょう。

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