TOKYO'S FINEST

ZEEBRAのアルバム『TOKYO'S FINEST』

ZEEBRAの3枚目のオリジナルアルバム『TOKYO'S FINEST』は、2023年にリリースされ、前作『BASED ON A TRUE STORY』から約3年3ヶ月の間を経ての作品となります。タイトルにある「TOKYO」は、東京を舞台にした楽曲が多数収められていることを象徴しており、アルバム全体を通じて、都市の魅力やストリートカルチャーが表現されています。このアルバムでは、ZEEBRAが前年に結成したプロデュースユニット「FIRSTKLAS」の活動が色濃く反映されており、彼自身もプロデュースに参加しています。

さらに、本作には安室奈美恵やさまざまなラッパー、シンガーなど、多くのアーティストが楽曲に参加しており、コラボレーションの幅広さが特徴となっています。リリースからわずか2日で出荷枚数が10万枚を突破するなど、商業的にも成功を収めました。

アルバムの特徴と意図

これまでの作品とは異なり、『TOKYO'S FINEST』はポップかつR&Bの要素を取り入れた楽曲が多く含まれています。ZEEBRAはインタビューで「ヒップホップはストリートだけではない」との考えを述べ、これまでの硬派なイメージから脱却し、幅広いリスナーに支持される作品へと進化させることを目指しました。

彼の音楽キャリアはブレイクダンスから始まり、ヒップホップへの情熱が根底にあります。その影響から、ヒップホップをダンスミュージックとして捉える意識が強まり、これまでの作品でのアカデミックなアプローチに対する危機感もあったと語っています。このような背景から、本作では意図的により軽やかな楽曲が選ばれ、リスナーにとって聴きやすいバランスが考慮されています。

制作の過程

DJ KEN-BOとの相談のもと、アルバムはミックスCDに近い形式で制作され、曲の流れや繋ぎ部分、曲間の設計などに細心の注意が払われました。たとえば、10曲目の「BIG BIG MONEY」ではR&B風のトラックにシンガーのHIROを客演として迎えています。一方で、5曲目の「Teenage Love」では、あえてシンガーを参加させない工夫が成され、様々な形で聴く人を楽しませる内容となっています。

ツアーと収録曲

本作に基づいたツアー『ZEEBRA LIVE TOUR THE LIVE ANIMAL 03 ～TOKYO'S FINEST～』も全国で開催され、ファンの期待に応える形で精力的な活動が展開されました。アルバム収録曲には、多様なプロデューサーの手による楽曲が並び、各トラックは異なる魅力を持っています。中でも「Touch the sky」のPVは、MTV Video Music Awards Japan 2004で最優秀ヒップホップビデオ賞を受賞しました。さらに、ZEEBRA自身が客演した安室奈美恵とのコラボトラック「AFTER PARTY」も話題となり、SUITE CHICの流れを引き継ぐ形で制作されました。

このように、『TOKYO'S FINEST』はZEEBRAにとっての新しい挑戦であり、時代の変化とともに進化する日本のヒップホップシーンを感じさせる重要な作品となっています。このアルバムを通じて、ZEEBRAは自身の音楽の境界を越え、より多様なリスナーにアプローチすることに努めているのです。

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