TOPLESS

『TOPLESS』：自由と葛藤の物語

2008年6月、渋谷ユーロスペースで公開された映画『TOPLESS』は、内田英治監督による、女性の性を真正面から描いた作品です。レズビアンをテーマに、彼女たちの生き様をリアルに、そして繊細に描き出しています。

本作の原案は、女性誌やウェブサイトでレズビアンのリアルな姿を表現してきた渡辺プリン。内田監督は、若者像を描くことに定評のある監督であり、『ガチャポン』や『しあわせなら手をたたこう』などの作品で知られています。監督は、渡辺プリンの原案を基に、恋に性別は関係ないというメッセージを込めた作品を制作しました。

物語は、自由奔放な女子大生、夏子を中心に展開します。夏子は「女好き」を公言し、自由に生きていますが、ある日失恋してしまいます。失恋の痛手を癒すかのように、次々と女性にアプローチを始めます。

対照的に、夏子の元恋人である朋美は、より保守的で繊細な性格です。傷つくことを避け、結婚という安定した未来を選びます。そして、生まれて初めて男性と付き合うことを決意します。

そんな夏子の前に、ある日、一人の女子高生カナが現れます。カナは、幼い頃に恋人と駆け落ちしたレズビアンの母親を探して上京してきたのです。レズビアンであることを受け入れ、自由奔放に生きる夏子。レズビアンであることを隠そうとする朋美。そして、レズビアンを憎むカナ。彼女たちはそれぞれ異なる境遇、異なる考え、異なる生き方の中で、葛藤を抱えながらも未来へと進んでいきます。

キャストには、実力派の若手女優が名を連ねています。主人公の夏子を演じるのは、清水美那。彼女は『蕨野行』で山路ふみ子映画賞新人女優賞を受賞した実力派女優です。夏子の恋人、朋美役には、CMやPVで活躍する傍ら、女優としても『三年身籠る』『東京ゾンビ』などに出演経験のある奥田恵梨華。

その他、カナ役には大政絢、光司役には坂本爽、健太役には河合龍之介などが出演しています。

『TOPLESS』は、単なる恋愛映画ではありません。レズビアンというテーマを通して、社会におけるマイノリティの生きづらさ、そして、恋愛や結婚といった普遍的なテーマを問いかける作品です。それぞれの登場人物の葛藤や選択は、観客に様々な感情と深い考えを促します。

映画は、2008年6月7日に渋谷ユーロスペースで公開され、内田監督、清水美那、坂本爽が舞台挨拶を行いました。その後、大阪シネ・ヌーヴォX、関西クィアフィルムフェスティバル、香川レインボー映画祭などでも上映されました。

『TOPLESS』は、性や恋愛、そして社会に対する鋭い視点と、登場人物たちの繊細な感情描写が融合した、忘れがたい作品です。レズビアンというテーマに興味のある方、恋愛映画が好きな方、そして、社会問題について考えさせられる映画を探している方におすすめです。

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