跳び箱

跳び箱

跳び箱は、長方形の木枠を山形に積み重ね、最上部に布や革などを張った箱型の体操器具です。学校体育の授業や、運動施設などで広く使用されています。木枠の数を変えることで高さを調節でき、初級者向けのウレタン製のものや、閉脚跳び用に中央部が低くなっているものもあります。

歴史

跳び箱の原型は古代ローマ時代に存在し、兵士が馬に乗る訓練のために木馬を使っていたことに由来します。その後、ドイツで木馬を跳び越す運動と、馬上での鞍馬運動に分かれて発展しました。現代の跳び箱は、ドイツの跳馬運動とスウェーデンのテーブル跳びの影響を受け、19世紀初頭にスウェーデンで考案されました。初期の跳び箱は正方形でしたが、安全性を考慮して1920年代に現在の台形へと改良されました。

日本では、1885年から学校教育に木馬が導入され、跳躍運動が行われていました。1901年には、木馬よりも利便性と安全性が高い跳び箱が紹介され、1913年には全国の学校に設置されるようになりました。

踏み切り板は、以前は弾性の少ない固定式が一般的でしたが、現在ではロイター板がよく使われています。

跳び箱運動

跳び箱の跳び方には様々な種類があります。

開脚跳び: 脚を左右に開いて跳び越える基本的な跳び方です。
閉脚跳び（抱え込み跳び）: 脚を閉じたまま跳び越える跳び方です。
台上前転: 跳び箱の上で前転する技です。
前方屈腕倒立回転跳び: 跳び箱の上で腕を曲げて前転する技です。
前方倒立回転跳び: 体を伸ばしたまま前転する高度な技です。
側方倒立回転跳び: 体を伸ばしたまま側転する技です。

これらの技のうち、台上前転と側方倒立回転跳びは跳び箱を縦向きにして行います。開脚跳びは縦向き、閉脚跳びは横向きで行うことが多いです。

規格と寸法

文部科学省の規格では、跳び箱には小型、中型、大型の3つのサイズがあります。

小型: 高さ約75cm
中型: 高さ約85cm
大型: 高さ約100cm

安全規格としては、CPSA0084（製品安全協会）が定められています。

事故

跳び箱を使った授業中の事故は、日本スポーツ振興センターの調査によると、2015年度に小学校で14887件発生しています。また、過去11年間で後遺障害を負った事例は11件報告されています。

主な事故例として、以下のようなものがあります。

1967年9月：小学校の体育授業中に、児童が高さ80cmの跳び箱から落下し、首の骨を折って死亡。
2017年5月：中学校の体育授業中に、男子生徒が跳び箱から転倒し、頸椎の脱臼骨折で胸から下が麻痺。


これらの事例からも、跳び箱運動には注意が必要であることが分かります。

巨大跳び箱と記録

学校で使われる跳び箱は通常8段までですが、より段数を増やして跳び越える競技も存在します。TBSの番組「スポーツマンNo.1決定戦」や「最強スポーツ男子頂上決戦」では、「MONSTER BOX」という種目として行われています。

番組公認の世界記録は以下の通りです。

番組公認世界記録: 23段（高さ3m06cm）
番組公認女子世界記録: 18段（高さ2m56cm）

マッスルミュージカルでは、24段（高さ3m16cm）という記録も出ていますが、これは番組非公認です。

ギネス記録としては、マッスルミュージカルで24段を成功させた大山大和選手が、2m95cmの高さで記録を樹立しています。ただし、ギネス記録は着地条件が異なるため、単純な比較はできません。

関連情報

ロイター板: 跳び箱運動で使用される踏み切り板。
* 馬跳び: 人を跳び越える遊び。

もう一度検索