TOUR (松山千春のアルバム)

松山千春 『TOUR』 (1996)

『TOUR』は、シンガーソングライター松山千春が1996年6月21日にリリースした、キャリアにおいて通算27作目となるオリジナル・アルバムです。この作品は、当時の彼の音楽活動における重要な一時期を捉えたものとして位置づけられます。

アルバムの特徴

本作の大きな特徴の一つとして、先行シングルとしてリリースされ、大きな話題を呼んだ楽曲「君を忘れない」が収録されている点が挙げられます。

「君を忘れない」は、1996年4月から6月にかけてフジテレビ系列で放送されたテレビドラマ『みにくいアヒルの子』の主題歌として起用されました。ドラマの内容とも相まって多くの視聴者の共感を呼び、楽曲そのものが広く知られるきっかけとなりました。このヒットシングルをアルバムの核として収録することで、『TOUR』はリリース当時、多くのリスナーの注目を集めることとなりました。

また、本作の初回生産盤には、購入特典として特別にポスターが付属していました。これは当時のファンにとって嬉しいアイテムであり、アルバムの記念価値を高める要素の一つでした。

時を経て2013年には、日本コロムビアからリリースされた「松山千春オリジナル・アルバム・コレクション」シリーズの一環として、本作もVol.22として改めて再リリースされています。これにより、初期リリース時に手に入れられなかったファンや、新たに松山千春の音楽に触れた人々も、このアルバムを再び楽しむ機会を得ました。

参加ミュージシャン

『TOUR』のサウンドを形作る上で、当時の日本の音楽シーンを代表する錚々たるミュージシャンたちが多数参加しています。彼らの卓越した演奏技術と表現力が、松山千春の紡ぐメロディーと歌詞に深みを与えています。

参加ミュージシャン（一部抜粋、順不同）は以下の通りです。

Drums: 島村英二、渡嘉敷祐一
Bass: 高水健司、岡沢章、長岡道夫、美久月千晴、岡沢茂、河合徹三
Guitar: 松原正樹、徳武弘文、好永立彦
A.Guitar: 吉川忠英、笛吹利明、古川昌義、丸山政幸
Keyboards: エルトン永田、夏目一朗、飛澤宏元
Syn.Operator: 渋谷年治、國友孝純
Strings: 加藤JOE (solo)、篠崎正嗣 (solo)、加藤JOEグループ、篠崎正嗣グループ
Chorus: 比山貴咏史、木戸やすひろ、曳田修 (ROBBIRD)、鈴木弘明 (ROBBIRD)
* Harmonica: 八木のぶお

このように、リズム隊からギター、鍵盤楽器、ストリングス、コーラス、さらにはハーモニカに至るまで、各パートの第一線で活躍するプレイヤーたちが結集しています。特にベースには6名もの名前がクレジットされており、楽曲によって異なるアプローチやサウンドが取り入れられていることが伺えます。また、アコースティックギターとエレキギターの双方で複数の名手が参加している点も、サウンドの幅広さを示唆しています。彼らの磨き抜かれた演奏が、松山千春のボーカルを支え、アルバム全体に温かみと情感豊かな彩りを与えています。

制作コーディネートは、株式会社ミュージックランドの高村浩氏、関谷紀子氏、原明弘氏が担当しました。

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