TQM

TQM：組織全体の品質向上を推進する経営手法

TQM（Total Quality Management）、日本語では総合的品質管理、総合的品質マネジメント、総合的品質経営などと呼ばれます。これは、組織全体で統一された品質管理目標を設定し、それを経営戦略に統合することで、組織全体の品質向上を目指す経営手法です。

TQMの起源と進化

TQMの概念は、1980年代のアメリカで生まれました。当時、アメリカの企業は日本の製造業の品質管理の高さに注目し、研究を進めていました。その中で、日本独自の進化を遂げたTQC（Total Quality Control）とその実践であるQCサークル活動に強い関心が集まりました。

TQCはアメリカ発祥の品質管理手法ですが、日本ではボトムアップ型の活動であるQCサークルが発展し、「継続的な改善（カイゼン）」の文化を醸成しました。TQMは、この日本型TQCの成功事例を踏まえ、アメリカ企業の経営スタイルに合うよう、トップダウン型の意思決定プロセスを重視した品質マネジメント手法として開発されました。

単なる製造業向けの概念にとどまらず、サービス業を含むあらゆる業種への適用を目指した点がTQMの特徴です。顧客満足度を重視したアプローチにより、サービス業での導入事例も多く見られます。

TQMの主要な特徴

TQMの中核となるのは、企業トップが定めた経営戦略を、具体的な品質目標や顧客満足度目標へと段階的に落とし込み、組織全体で共有し実行していくことです。このプロセスを通じて、組織全体が共通の目標に向かって取り組み、継続的な品質向上を追求します。

1980年代後半から1990年代にかけて、多くのアメリカ企業がTQMを導入し、その結果、アメリカの産業競争力の強化に貢献したという見方もあります。日本においても、バブル崩壊後の経済低迷期に、アメリカの成功事例から注目を集め始め、次第にTQCからTQMへの移行が進みました。これは、企業におけるマネジメントの重要性が高まったこととも関連しています。

TQMと関連する概念

TQMは、他の品質管理や経営手法とも密接に関連しています。例えば、総合的設備管理（TPM）、ISO 9000、リエンジニアリング、シックスシグマなどは、TQMと相乗効果を発揮する手法として知られています。また、品質管理の第一人者であるW・エドワーズ・デミングの功績を称えるデミング賞も、TQMの理念と深く関わっています。統計的プロセス制御も、TQMを効果的に運用するための重要なツールです。

まとめ

TQMは、顧客満足度を重視した組織全体の品質向上を目指す経営手法です。トップダウンとボトムアップの両面を統合し、継続的な改善を促進することで、組織全体の競争力強化に貢献します。製造業のみならず、様々な業種で広く活用されており、現代のビジネス環境においても重要な経営戦略の一つと言えます。

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