TRICOM-1

TRICOM-1とTRICOM-1Rの概要

TRICOM-1は、2017年1月15日に内之浦宇宙空間観測所からSS-520ロケット4号機によって打ち上げられた3Uキューブサットですが、打ち上げ時の不具合により軌道に乗ることができませんでした。代わって、2018年2月3日に無事に打ち上げられたのが、その後継機にあたるTRICOM-1Rです。

TRICOM-1の打ち上げと仕様

TRICOMという名称は、「情報を取り込む」という意味から来ています。東京大学で開発されたこの小型衛星は、全長約30cm、幅約10cm、重量は約3kgというサイズを持ち、地上から送られるデータを一時的に内部に蓄え、衛星が地上の管制局の上空を通過する際にそのデータを送信する「ストア&フォワード」と呼ばれる機能を持っています。また、地表を撮影するためのカメラも搭載しています。

TRICOM-1は、経済産業省が公募した宇宙開発事業の一環として、4億円の支援を受けて開発が進められました。打ち上げの際、午前8時33分に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。しかし、打ち上げの20秒後に機体からのテレメータが途絶えてしまい、安全性が確認できなかったため、第二段モーターへの点火が行われず、結果的に軌道には投入されませんでした。

TRICOM-1Rの概要と打ち上げ

TRICOM-1Rは、TRICOM-1の代替機として設計された衛星で、基本的には同じ機能を持っていますが、いくつかの重要な改良が施されています。この新型衛星は、打ち上げ直後に地上からの命令がなくても自動的に観測が行えるように仕様変更がなされています。

初め、TRICOM-1Rは2017年12月28日にSS-520ロケット5号機での打ち上げが予定されていましたが、12月26日に発覚した不具合により、打ち上げは延期され、最終的に2018年2月3日14時03分に行われることとなりました。打ち上げから約7分30秒後にロケットの上段から切り離され、その約3時間後には無事に地上との通信が確立され、「たすき」と名付けられました。

TRICOM-1Rは、当初の予定通り約1か月の軌道寿命を大幅に超えて、約6ヶ月間にわたり地球の周回を続け、さまざまなデータを収集・送信していました。最終的には2018年8月22日に大気圏に突入し、運用を終えました。

TRICOM-1Rの仕様

• - 全長: 346 mm
• - 幅: 約 116 mm
• - 重量: 約 3 kg

搭載機器

• - 電波中継器
• - 地表撮影用カメラ

TRICOM-1およびTRICOM-1Rは、宇宙開発における新たな挑戦の一環と位置付けられ、多くの技術者や研究者の努力によって実現されたものです。これらの衛星は、宇宙での研究やデータ収集の重要な役割を果たしており、今後の宇宙開発に向けた貴重な学びをもたらすでしょう。

外部リンク

• - SS-520ロケット4号機"TRICOM-1" 打上げ - YouTube

これらの情報は、宇宙開発に携わる人々や学生に向けて、TRICOM衛星シリーズの重要性を伝える材料ともなります。

もう一度検索