TRIOLE

TRIOLE（トリオーレ）

TRIOLE（トリオーレ）は、富士通が提唱したIT基盤のコンセプトであり、その実現を目的としたサーバー、ストレージ、ネットワーク、ミドルウェアなどの製品群と、運用に関する考え方を組み合わせた総称である。その名称はドイツ語の「三連符」に由来し、「自律」、「仮想」、「統合」という三つのコンセプトを象徴している。

コンセプトと構造

TRIOLEの根幹にあるのは、IT基盤全体を最適化し、複雑化するシステム環境に対応することである。運用管理においては、ITIL（Information Technology Infrastructure Library）に基づくフレームワークや、システム開発ライフサイクル（SDLC）の考え方が実装され、システム運用とIT資産のライフサイクル管理を統合する仕組みが構築された。

技術的なアプローチとしては、サーバー、ストレージ、ネットワークといった物理的なインフラストラクチャと、業務アプリケーションとの間に「プラットフォーム層」と呼ばれる論理的な抽象化レイヤーを設ける構造を採用した。これにより、インフラと業務を分離し、仮想化を効果的に実現することを可能にした。

目的

現代のIT環境において、システムのオープン化が進み、構造が複雑化する中で、TRIOLEは特定の機能や役割に基づいてシステムをブロック単位に分割し、典型的な構成パターンを事前に検証した上で、これらのブロックを組み合わせることでシステムを構築する手法を提案した。これにより、以下の実現を目指した。

ビジネスの成長や拡大への迅速な対応
業務システムの迅速な構築
システムの安定した運用
総所有コスト（TCO）の削減

主要な構成要素（初期）

TRIOLEのコンセプトを具現化するために、初期段階では以下の富士通製プロダクトシリーズが主要な構成要素として位置づけられた。

Interstageシリーズ: システムを構築する上でのソフトウェア基盤となる製品群であり、アプリケーションサーバーや統合開発環境などが含まれる。
Systemwalkerシリーズ: システム全体の運用管理を担う製品群であり、性能監視、ジョブ管理、構成管理、ヘルプデスク機能などを提供する。
Symfowareシリーズ: データベースソリューションであり、TRIOLEを基盤とするシステムにおいてデータの格納・管理を行う役割を担った。
B2.Sframework: 業務アプリケーションの開発を効率化するためのフレームワーク。制御ロジックと業務ロジックを分離することで、開発工数の削減を図ることを目的としていた。

2003年6月には、富士通製品だけでなく、他社製品を含む環境での動作を保証し、機能や役割別にモデル化したPiテンプレートが構成要素に追加され、より柔軟なシステム構築が可能となった。

歴史

2002年2月: サーバー、ストレージ、ネットワークを連携・融合するプラットフォーム・コンセプトとして初めて発表された。
2003年6月: 改めてコンセプトが発表・強化され、Piテンプレートが追加された。
2007年9月: 富士通グループ以外で初めて、TIS株式会社がTRIOLEの仕組みを自社システムに取り入れたことが発表された。
2015年6月: マルチハイパーバイザーに対応する仮想環境管理などを目的としたミドルウェア製品群「TRIOLE クラウドミドルセットV1」の販売が開始された。
2015年11月: クラウドベースのサービス管理ツールであるServiceNow上に、TRIOLEの運用管理ノウハウをテンプレートとして構築した「TRIOLE for ServiceNow」の提供が発表された。
2018年3月: 「TRIOLE クラウドミドルセット」の販売が終了した。

関連項目

デザインパターン (ソフトウェア)
グリッド・コンピューティング

TRIOLEは、現代のクラウド基盤やハイブリッドIT環境における仮想化、自動化、統合管理といったコンセプトの先駆けとも言える取り組みであった。

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