TROPICALISM -0°

THE BOOMの7枚目のアルバム『TROPICALISM -0°』（トロピカリズムマイナスゼロ）は、1996年7月1日にリリースされました。このアルバムは、当時所属していたソニー・ミュージックレコーズから発表された最後のアルバムとなりました。

アルバムに先駆けて、「手紙」（1995年12月13日発売）と「時がたてば」（1996年5月22日発売）がシングルとしてリリースされています。

1996年5月、THE BOOMは念願のブラジルツアーを敢行し、3都市で4公演を成功させました。その勢いのまま、「氷点下の熱情主義」をコンセプトに、前作『極東サンバ』に引き続き、ブラジル音楽を中心としたアルバムを制作しました。内容は前作以上にブラジル音楽への思いが込められたものとなっています。

宮沢和史は当時、ブラジルの音楽家ジルベルト・ジルに深く傾倒しており、本作について後年、「トロピカリズモ（ブラジルの文化運動）に対する日本からの返答」と語っています。この言葉からも、単なるブラジル音楽の模倣ではなく、THE BOOMならではの解釈と情熱が込められた作品であることがうかがえます。

『極東サンバ』に引き続き、チト河内率いるCHITO CHANGÓ、モーガン・フィッシャーが参加し、アルバムに彩りを添えています。また、「JUSTIN」では、シンガポールのミュージシャンであるディック・リーと彼の兄弟がコーラスとして参加し、国際色豊かなサウンドを演出しています。

さらに、「僕」では、ギタリストの小林孝至が初めてボーカルを担当し、新たな一面を見せています。多彩なゲストを迎え、THE BOOMの音楽性の幅広さを示す作品となりました。

本作は2005年8月3日にデジタルリマスターされ再発売され、ボーナス・トラックとして「手紙」（シングル・オリジナル・ヴァージョン）が収録されています。

アルバムに連動したツアー「TROPICALIZE TOUR」が1996年7月23日から10月20日まで行われ、その後、総集編のアリーナ・ツアー「TROPICALIZE TOUR FINAL」が同年12月19日から1997年1月14日まで約1ヶ月間行われました。このツアーの後、THE BOOMはグループとしての活動をしばらく停止することになります。

『TROPICALISM -0°』は、THE BOOMのブラジル音楽への愛情と探求心が結実した、熱い情熱と実験精神に満ちた作品と言えるでしょう。

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