TRUTH (THE SQUAREのアルバム)

THE SQUARE（現T-SQUARE）が1987年に発表したアルバム『TRUTH』は、彼らの音楽性を大きく進化させた作品として知られています。1987年4月1日にリリースされたこのアルバムは、バンドにとって重要な転換期を示すものでした。

本作から、須藤満がベーシストとして正式に加入し、その卓越した演奏技術でバンドサウンドに深みと安定感をもたらしました。また、かつてメンバーであった仙波清彦がパーカッションとしてゲスト参加し、楽曲に彩りを加えています。

サウンド面では、前作『S・P・O・R・T・S』までの生音に近いサウンドから一転、全体的にリバーブを深くかけることで、より奥行きのある音響空間を創り出しています。このリバーブを多用したサウンドは、伊東たけし在籍時のアルバム『NATURAL』まで続く、彼らのサウンドの特徴の一つとなりました。また、前作で初めて導入したデジタル機材を全面的に活用し、実験的なサウンドを追求したノウハウを活かし、本作では1990年代に繋がる新たな音楽スタイルを確立することに成功しました。

アルバムの表題曲である「TRUTH」は、フジテレビの『F1グランプリ』テーマ曲として起用され、幅広い世代にT-SQUAREの代表曲として認知されています。疾走感あふれるメロディは、F1だけでなく、様々なシーンのBGMとして使用され、多くの人々に親しまれています。

『TRUTH』は、第2回日本ゴールドディスク大賞でアルバム・オブ・ザ・イヤー（ジャズ/フュージョン部門）を受賞するなど、高い評価を得ています。音楽ライターの熊谷美広は、自身が監修したディスクガイドの中で、「スクェアといえばトゥルース」というイメージがこのアルバムで確立されたと評し、彼らの充実期を真空パックしたような意欲作であると絶賛しています。

収録曲

1. GRAND PRIX - 作曲: 安藤まさひろ
2. CELEBRATION - 作曲: 安藤まさひろ
3. BEAT IN BEAT - 作曲: 安藤まさひろ
4. UNEXPECTED LOVER - 作曲: 安藤まさひろ
5. TRUTH - 作曲: 安藤まさひろ
フジテレビ『F1グランプリ』テーマ曲
6. BREEZE AND YOU - 作曲: 和泉宏隆
7. GIANT SIDE STEPS - 作曲: 伊東たけし
8. BECAUSE - 作曲: 安藤まさひろ
富士通テン・Biyo CMソング
9. TWILIGHT IN UPPER WEST - 作曲: 和泉宏隆
1994年にミュンヘン交響楽団との共演でオーケストラアレンジされ、テレビドラマ『幕末高校生』のテーマ曲として使用。

参加ミュージシャン

THE SQUARE
安藤まさひろ - Guitars & Synthesizers Programmes
伊東たけし - Alto Saxophone & Lyricon
和泉宏隆 - Keyboards & Synthesizers Programmes
則竹裕之 - Drums & Percussion Programmes
須藤満 - Bass
Additional Musician
* 仙波清彦 - Percussion（#1, #2, #3, #7）

『TRUTH』は、T-SQUAREの代表作であるとともに、日本のフュージョン音楽史においても重要な作品として、その輝きを放ち続けています。

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