S・P・O・R・T・S

アルバム『S・P・O・R・T・S』の概要

THE SQUAREが1986年にリリースした11枚目のアルバム『S・P・O・R・T・S』は、音楽的な探求が色濃く表れた一作です。このアルバムは、12インチシングル「DROP GOAL」と同日発売され、タイトル曲を含む複数の楽曲がスポーツにインスパイアされて制作されています。収録曲には「Love All」、「HIT AND RUN」、「OVERHEAD KICK」、「DROP GOAL」があり、それぞれのトラックからはアグレッシブで躍動感あふれるスポーツの雰囲気が感じられます。

当時、音楽の制作環境がアナログからデジタルに移行する中で、本作は新しい技術を取り入れながら製作されました。デジタル録音や自動演奏という実験的なアプローチが見られるのも特徴で、THE SQUAREの過去の作品とは異なる新しい音楽スタイルを確立しています。また、このアルバムの制作時期には、メンバーの伊東たけしが自身の2ndソロアルバム『L7』をリリースしており、その音楽的影響があったと言われています。

この作品では、則竹裕之がドラマーとして新たに参加し、ベーシストの田中豊雪はこのアルバムを最後に脱退しました。次作『TRUTH』からは須藤満が加わります。伊東は、従来使用していたリリコンに加え、特別に製作されたTAKECON-1というウインドシンセサイザーも使用しています。このアルバムには、各楽器のソロプレイやアレンジの変化も楽しめるトラックが盛り込まれています。

受賞歴と社会的影響

『S・P・O・R・T・S』は、リリース後すぐに日本ゴールドディスク大賞のアルバム・オブ・ザ・イヤー（ジャズ/フュージョングループ部門）を受賞しました。このような受賞歴は、このアルバムが日本の音楽シーンに与えた大きな影響を示しています。

特に「TAKARAJIMA」は、スクェアのライブでも頻繁に演奏され、テレビやラジオなどさまざまなメディアでバックグラウンドミュージックとしても活用されるようになりました。この楽曲はシングルカットはされなかったものの、2010年にはセルフカバーアルバムに収録され、さらに多くのアレンジバージョンが存在します。中でも、真島俊夫による吹奏楽アレンジは特に人気で、多くの吹奏楽団によって演奏されています。

各曲の紹介

1. LOVE IS IN MY SIGHT（作曲: 安藤まさひろ）
スクェアのサウンドを受け継ぐ楽曲。

2. LOVE ALL（作曲: 伊東たけし）
アドリブ・ソロの自由度が際立つ、ビート重視の楽曲。

3. HIT AND RUN（作曲: 安藤まさひろ）
シングル「DROP GOAL」のB面に収録。

4. LEAVE ME ALONE（作曲: 和泉宏隆）
孤独とひとりでいることの違いを考えた曲。

5. OVERHEAD KICK（作曲: 田中豊雪）
ノリの良いロックン・ロール。

6. DROP GOAL（作曲: 安藤まさひろ）
12インチシングルとしてもリリース。

7. TAKARAJIMA（作曲: 和泉宏隆）
スクェアの代表曲の一つ。

8. CAMEL LAND（作曲: 安藤まさひろ）
クールな感じを意識した楽曲。

9. PASSAGE OF CLOUDS (雲路)（作曲: 伊東たけし）
メロディ主体のラストナンバー。

最後に

『S・P・O・R・T・S』は、THE SQUAREが新たな音楽の地平を切り開くために挑戦した傑作です。技術の進化とメンバー間の音楽的成長が結びついたこのアルバムは、今後も長きにわたってリスナーに愛され続けることでしょう。

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