TS1 (エンジン)

TS1ターボシャフトエンジン

TS1エンジンは、防衛省の技術研究本部が1996年8月に初飛行を果たしたOH-1観測ヘリコプター用に特別に開発されたターボシャフトエンジンです。このエンジンの核心部分は88式地対艦誘導弾の技術を基にしており、その開発は1992年の機体開発計画に先行して進められました。エンジンの開発と製造を担ったのは三菱重工業です。

TS1エンジンは、OH-1観測ヘリコプターに2基搭載されており、技術的には1段圧縮機と1段出力タービンから成り立っています。出力は884軸馬力（shp）を誇り、圧力比は11と優れた性能を持っています。特徴として、遠心式の圧縮機を1段だけ使用することで、装置自体を小型化し、外国物体損傷（FOD）に対する耐性を高めるとともに、エンジンの安定した作動範囲を広げました。このため、安定性と信頼性を兼ね備えたエンジンに仕上がっています。

型式と改良

TS1の基本型は「TS1-M-10」であり、続いて「TS1-M-10A」の改良型も存在します。改良型は2001年度から2007年度にわたって行われた「観測ヘリコプターのフォローアップ」に基づき、圧縮機やタービンの性能向上が施されました。この改良によって耐久性や燃料消費率が改善され、運用コストが抑えられました。TS1-M-10Aは2009年度から新たに契約されたOH-1に搭載され、2010年度以降には既存機にもオーバーホールの際に搭載される予定です。

XTS2エンジンについて

次世代ヘリコプターを見据えた出力増強型として開発されたのが「XTS2」です。このエンジンの研究は2006年度から始まり、2008年度から性能確認試験が実施され、2014年6月に開発が完了しました。XTS2はTS1を基に、圧縮機と出力タービンの2段化が進められ、高圧タービンの冷却能力の向上も加わり、出力は約45%も増強されました。これにより、最大出力は約1300shpに達します。

さらに、XTS2では部品の共通化や燃費向上も図られており、新しい部品は15%、共通部品が35%、およびスケールアップ部品が50%を構成しています。また、入口異物分離装置や赤外線放射低減装置の導入によって、運用の信頼性と効率性を向上させています。

まとめ

TS1およびその派生型は、先進的な技術と設計によって、観測ヘリコプターの性能向上を実現してきました。今後の航空機の発展にも貢献することでしょう。

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