TSR (オートバイ)

TSR：日本のオートバイレーシングチームの軌跡

TSR（テクニカルスポーツレーシング）は、日本のオートバイレーシング界において長年にわたる歴史と実績を誇るチームです。三重県鈴鹿市に拠点を置くホンダワールド株式会社が運営母体となり、レース活動とアフターパーツの開発・販売を両輪として事業を展開しています。チーム名は、かつての名称である「テクニカルスポーツ」の頭文字に由来しています。

レース活動：世界選手権から鈴鹿8耐まで

TSRは1980年代から全日本ロードレース選手権や鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦し、ホンダ系の有力プライベーターとして名を馳せてきました。1991年にはロードレース世界選手権（WGP）に本格参戦。125cc、250cc、500ccクラスに参戦し、上田昇選手をはじめとする日本人ライダーを育成・輩出しました。MotoGP時代にはMoto2、Moto3クラスにも参戦を続け、日本の若手ライダーの登竜門としての役割も担ってきました。

WGPでの活躍は目覚ましく、特に125ccクラスでは、上田選手、辻村猛選手、眞子智実選手らが好成績を収め、年間ランキング上位を争う強さをみせつけました。1997年には500ccクラスに青木宣篤選手を擁し参戦。最高位2位を獲得するなど、トップクラスで活躍しました。

鈴鹿8時間耐久ロードレースにおいても、TSRは長きにわたり参戦を続けてきました。初期はVFR750Rなどで参戦していましたが、1998年からは、独自に開発したオリジナルフレームを採用したマシンで、特にXX-Formula規定のマシンを用いて参戦。幾多の挑戦を続け、2006年に悲願の初優勝を達成しました。その後も2011年、2012年と連覇を成し遂げるなど、日本のトップレーシングチームとしての地位を確立しました。

2016年からは、FIM世界耐久選手権（EWC）に活動の主軸を移行。ル・マン24時間耐久ロードレースやオッシャースレーベン8時間耐久ロードレースで優勝を重ね、参戦3シーズン目で選手権総合優勝を達成しました。

アフターパーツの開発と販売：レースで磨かれた技術

レース活動で培われた技術は、アフターパーツの開発・販売にも活かされています。マフラーやバックステップなど、オートバイのカスタマイズパーツを販売する他、鈴鹿8耐レプリカ公道用コンプリートマシンの販売や各種整備サービスも行っていました。(2024年より一般向け車両整備は隣接のホンダドリーム鈴鹿サーキットロード店に移管)

スポンサー：F.C.C.との長年のパートナーシップ

TSRのメインスポンサーは、クラッチメーカーのF.C.C.です。1988年から続く深い信頼関係は、鮮やかなブルーのチームカラー「F.C.C.ブルー」にも象徴されています。また、EWC参戦時には、Honda Franceともタッグを組み、『F.C.C. TSR Honda France』として参戦しています。

マシン開発：オリジナルフレームのこだわり

TSRは、他チームに先駆けてオリジナルフレームのGPマシンを開発。WGP各クラスや全日本選手権に投入し、独自の技術力を示してきました。ACシリーズと呼ばれるオリジナルフレームマシンは、数々のレースで活躍し、TSRの技術力の高さを証明する存在となっています。

まとめ：進化を続けるレーシングチーム

TSRは、レース活動、パーツ開発、そして長年のスポンサーとの信頼関係など、様々な側面から日本のオートバイレーシング界に貢献してきました。今後も、独自の技術力と情熱をもって、世界を舞台に活躍していくことでしょう。 その歴史と挑戦は、日本のモータースポーツ史に新たな1ページを刻み続けています。

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