FIM世界耐久選手権

FIM世界耐久ロードレース選手権シリーズ (EWC)

FIM世界耐久ロードレース選手権シリーズ、通称EWCは、国際モーターサイクリズム連盟が主催するモーターサイクルによる耐久レースの世界選手権です。このシリーズは1960年に初めて開催され、モータースポーツの中でも特に過酷なレースが繰り広げられています。EWCは伝統的なボルドール24時間耐久ロードレースを中心に成り立っており、1980年からは日本の鈴鹿8時間耐久ロードレース（鈴鹿8耐）がシリーズの一環として組み込まれています。

鈴鹿8耐は、EWCの最終戦に位置付けられるようになりました。さらに、ル・マン、スパ、オッシャースレーベンなどの国際的な耐久レースもこのシリーズに含まれており、各地で壮絶な戦いが繰り広げられています。1989年から1990年の間は、開催数が規定に達しなかったため、シリーズ名が「ワールドカップ」として格下げされましたが、それ以降は安定した運営が行われています。

2019-2020シーズンからは、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでの8時間耐久レースが新たに追加されるなど、シリーズは進化を続けています。このレースでは鈴鹿8耐の形式が踏襲されており、TOP10トライアルが行われる予定です。さらに、ベルギーのスパ・フランコルシャンでは、2021-2022シーズンから新たにリェージュ24時間耐久レースの代わりにスパでの24時間耐久が追加され、注目を集めています。

EWCには2つのクラスが存在し、Formula EWC（EWCクラス）とSuper Stock（SSTクラス）があります。EWCクラスでは市販車をベースにした大規模な改造が許可され、選手たちは競技性能を高めるためにさまざまな改修を施します。一方、SSTクラスは主に市販車の改良が行われ、4戦中3戦のポイントが有効とされます。これは、資金的に小規模なチームが多いため、鈴鹿8耐を欠席しても不利にならないよう配慮された結果です。車両の識別方法として、EWCクラスは白いヘッドライトと黒ベースのゼッケンを使用し、SSTクラスでは黄色いヘッドライトと赤ベースのゼッケンが使われています。

しかし、新型コロナウイルスの影響はEWCにも大きな打撃を与えました。2019-2020年シーズンには、フランスでの規制によりル・マン24時間耐久ロードレースが延期され、鈴鹿8耐も絶えず日程が変更される事態となりました。多くのレースが中止し、代替レースとしての開催が余儀なくされました。2021年にはシーズン制を取りやめ、年間シリーズとして行われる新たな形態が導入され、各地での模索が続きました。

EWCのレースフォーマットでは、シーズン最終戦のポイントが1.5倍に設定されており、長時間のレースでは経過時間に応じたボーナスポイントが付与されています。また、2018-2019年シーズンからは予選で上位5チームにポイントが与えられ、より戦略が重要視されています。

このようにEWCは、耐久レースの奥深さと過酷さを体現する舞台であり、毎年多くのファンを魅了し続けています。次回のレースを前に、引き続きその進化を見守ることが求められます。

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