TUGUMI

『TUGUMI』

吉本ばななの代表作である『TUGUMI』は、青春をテーマにした小説で、英語では「Goodbye Tsugumi」と呼ばれています。この作品は1980年代末から1990年代初頭にかけて連載および出版され、当時の読者から広く支持を得ました。

概要

『TUGUMI』は雑誌『マリ・クレール』に1988年4月から1989年3月まで連載され、1989年に中央公論社から出版されました。この物語は、病弱でわがままな少女つぐみと、彼女の従姉妹であるまりあの交流を中心に展開されます。物語は夏の西伊豆土肥海岸を舞台に、若者たちの出会いや別れ、そして成長を描写しています。

第2回山本周五郎賞を受賞し、その後英語や他の言語に翻訳され、国際的にも評価を受けました。初版の部数は30万部に達し、日本において平成時代初のミリオンセラーとなるなど、非常に高い人気を誇っています。読者層はほとんどが若い女性で、特に24歳以下が多かったことが特徴です。

あらすじ

物語は、夏休みに帰省したまりあが、いとこのつぐみと再会するところから始まります。つぐみは、病弱で入院を繰り返す少女ですが、その反面、甘やかされ育っており、暴言を吐く一方で心の奥に繊細な感受性を持っています。まりあはつぐみとの関係を深めていく中で、つぐみの本性や彼女が抱える問題に向き合うことになります。

さまざまなイベントやエピソードが展開される中、つぐみは友人の恭一との恋愛や、夏祭りの出来事を通じて自身の成長や別れを体験します。感情的な日々が続く中で、つぐみは自身の病気や周囲の人々との関わりについて深く考えさせられます。

登場人物

• - 白河まりあ: 物語の語り手で、つぐみの従姉妹。西伊豆での生活を通じて、つぐみとの絆を強める。
• - 山本つぐみ: まりあの従姉妹、病弱だが強い意志を持つ。
• - 武内恭一: つぐみの恋人で、一緒に夏を過ごすことになる。

映画化

1990年には市川準監督により『つぐみ』として映画化され、牧瀬里穂が主演を務めました。映画でも物語の主要テーマである「若者の悩みや人間関係」が扱われ、映像美と共に観客の心を捉えました。特に、牧瀬の演技は高く評価され、さまざまな映画賞を受賞しました。

作品の評価

『TUGUMI』は、出版直後から読者に愛され続け、多くのリーダーに影響を与えてきました。また、物語が持つ普遍的なテーマは、今日においても共感を呼ぶものであり、日本文学の中での位置づけを確立しています。文学作品は、映画を通じて新たな視点での解釈がされ、また新しいファン層を獲得することにも成功しています。

このように『TUGUMI』は、青春という普遍的なテーマを通じて得られる人間関係の大切さや、成長に伴う葛藤を描いた作品となっています。

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