TVオバケてれもんじゃ

TVオバケてれもんじゃ

『TVオバケてれもんじゃ』は、1985年1月10日から同年3月28日までの期間、フジテレビで放送された特撮テレビドラマです。この作品は、東映不思議コメディーシリーズの一環として位置付けられ、日曜朝9時に放送された『ペットントン』の成功を受けて、木曜のゴールデンタイムに移行する形でスタートしました。原作の石ノ森章太郎をはじめ、メインライターには浦沢義雄が関与しており、シリーズの独特な魅力を引き立てました。

作品の特色

このドラマはバラエティ色が強く、当時の人気番組の出演者たちが数多く登場し、視聴者を楽しませようと試みました。しかしながら、視聴率は期待に反して苦戦し、わずか全11回で放送は終了しました。メインライターの浦沢義雄は、スタッフ全員がゴールデンタイムの感覚を掴めず、自然と抑制的な表現になってしまったのではないかと悔いの言葉を残しています。

映像技術としてはフィルム撮影を基本としつつも、一部にはVTR撮影が用いられていました。特に、特殊効果のあるシーンにおいては、質感を重視した映像が展開されることが特徴でした。当時は、ジョージ・ルーカスが開発したフィルムの質感を表現できるVTRはまだ日本では普及しておらず、独特の映像体験が生まれました。これらの技術は、特撮の世界では長く定着せず、広く一般に浸透するのは1990年代に入ってからとなりました。

あらすじ

物語は、主人公である林トンボの独り言から始まります。8チャンネルしか映らない自宅のテレビに不満を抱いたトンボは、両親にテレビの買い替えを求めますが、なかなか実現しません。とうとう彼は、自宅のテレビを壊すことに決めますが、その瞬間、テレビから現れたのはオバケのてれもんでした。てれもんは、電波の滓を食べて生きるという不思議な存在で、トンボの家に住み着いてしまいます。

物語は、トンボと彼の家族、さらにはライバルであるザ・グレートデンキとのやり取りを中心に展開します。ザ・グレートデンキは近所の電器店の店主で、てれもんに嫉妬し、彼を退治しようと奮闘します。物語はコミカルな要素を含みつつ、トンボとてれもんの友情が育まれる様子が描かれています。

登場人物

主要キャラクターには、全身オレンジ色のテレビオバケ「てれもん」が登場し、彼はさまざまな能力を持っています。さらに、トンボの家族や彼の友人たちも個性豊かに描かれています。トンボの母・アゲハは明るく、人懐っこい性格であり、父・カブトは穏やかなサラリーマンです。町の仲間たちも物語の中で重要な役割を果たします。

制作スタッフと音楽

制作陣には、企画を担当した前田和也や、音楽を手掛けた本間勇輔らが名を連ねています。主題歌には榊原郁恵が参加し、オープニングとエンディングが作品に華を添えました。

『TVオバケてれもんじゃ』は、その独特なストーリーとキャラクターで一部のファンに愛され、短命ながらも特撮ドラマの一時期を彩った作品の一つです。

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