TV海賊チャンネル

深夜の異端児「TV海賊チャンネル」

「TV海賊チャンネル」は、1984年10月6日から1986年3月29日まで、毎週土曜日の深夜に日本テレビ系列で放送されていた深夜番組です。副題に「朝までやれない！」と掲げ、その名の通り、過激で斬新な内容が特徴でした。当時、フジテレビの「オールナイトフジ」が深夜番組で成功を収めていたことから、各局が深夜帯に参入。「深夜大戦争」と呼ばれる激しい視聴率競争が繰り広げられる中、日本テレビもその一翼を担いました。

「TV海賊チャンネル」は、他局の番組を意識し、「女子大生（オールナイトフジ）、MTVはもう古い！」を合言葉に、独自の路線を突き進みました。特に「お色気路線」は「オールナイトフジ」を凌ぐものであり、性風俗を前面に押し出した企画が多数存在しました。例えば、女性の裸体の一部がランダムに放送される「ティッシュタイム」や、ラブホテルを利用中のカップルに山本晋也が突撃取材する「ラブホテルクイズ」など、過激な内容が話題を呼びました。

しかし、過激な内容ゆえに監督官庁である郵政省（現・総務省）からクレームがつき、国会でも問題視されたため、お色気系のコーナーは軒並み打ち切りとなりました。それでも番組は、「お灸タイム」や「シャワータイム」として復活を遂げました。

バラエティ豊かな番組内容

お色気要素が強かった一方で、音楽、映画、演劇など、様々なジャンルのエンターテイメントを提供していました。洋楽の最新ビデオクリップを紹介するS-KEN担当の「ET」（EntertainmentTV）、西森マリーの映画評論、九十九一の一人芝居「3分間劇場」、谷啓率いるバンド「ザ・スーパーマーケット」のライブなど、多彩なコーナーが番組を彩りました。

また、番組途中で挿入されていた『読売新聞あすの朝刊』は、番組内の1コーナーとして、レギュラータレントが読売新聞社のスタジオで担当キャスターと一緒に進行するというユニークな演出がなされていました。

番組末期には、所ジョージが中心となり、遊び感覚重視の内容にリニューアルされました。スタジオにモニターを持ち込んで裏番組「ハロー!ミッドナイト」（TBS）を流し、その様子を観察するという実験的な企画も放送されました。また、所が出演していたドラマ『うちの子にかぎって…』とのコラボレーション企画も実現し、話題を呼びました。

出演者

番組の司会は所ジョージと早乙女愛（後に熊谷真実）が務め、その他にも山本晋也、南州太郎、高見恭子、九十九一、越前屋俵太、市川かおり、金行章輔、S-KEN、水森マリー、谷啓、滝川真子、木築沙絵子、早川愛美、小田かおる、青木琴美、井上麻衣、田代葉子、うんちーズ（セルフサービス）など、個性豊かな出演者が番組を盛り上げました。初回放送には、タモリがゲスト出演しました。

放送時間とネット局

放送時間は、『NNNスポーツニュース』終了後の23時55分から26時25分までの2時間30分でした。途中、25時20分から25時28分に『読売新聞あすの朝刊』を挟み、前半を「第1部」、後半を「第2部」としていました。ネット局は、日本テレビをはじめ、札幌テレビ放送、宮城テレビ放送、テレビ新潟放送網、静岡第一テレビ、中京テレビ放送、広島テレビ放送などがありました。ただし、ネット局によって、『読売新聞あすの朝刊』を含む全編を放送する局もあれば、一部のみを放送する局もありました。

エピソード

初回放送時には、スタジオに関係者が多数詰めかけ、番組制作に支障をきたすほどでした。また、番組スタッフが取材中に日本航空123便墜落事故の事故機を目撃し、証言したという出来事もありました。生放送中には、滝川真子が下着をプレゼントする企画で、危険な行為に及んだこともありました。さらに、銭湯のセットで全裸の女性が入浴する様子を生放送したため、警察の事情聴取を受けたというエピソードも存在します。1984年12月29日には、忘年会スペシャルとして放送時間を拡大し、裏番組との激しい視聴率競争を繰り広げました。

スタッフ

構成は滝大作、長谷川勝士、廣岡豊、谷口秀一、黒木一由が担当しました。ディレクターは梅原幹、河西裕、武田幹治、雨宮秀彦、大草昭男、中嶋勉、影沼沢聖紀、鈴木幸也、朝倉隆、玉木新悟、竹川誠が務めました。演出は矢野義幸、プロデューサーは園田広実が担当しました。制作は高橋進、東威が担当し、ザ・ワークス、フルハウステレビプロデュース（現：ハウフルス）が制作協力を行いました。製作著作は日本テレビでした。

「TV海賊チャンネル」は、その過激で斬新な内容で視聴者を魅了し、深夜番組史にその名を刻みました。

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