Tcsh

tcsh（ティーシーシェル）は、Unix系オペレーティングシステム（OS）で広く使われているコマンドシェルの一つです。その起源は、C言語に似た文法を持つcsh（シーシェル）にあり、cshのユーザーインターフェースを拡張する形で開発されました。tcshは、cshとの上位互換性を持ちながら、ヒストリ編集機能など、操作性を向上させる多くの機能が追加されています。また、簡単なC言語のソースコードの文法チェックに利用されることもあります。

Unix系OSで利用される他のシェルと比較して、tcshは国際化対応、特にNLS（Native Language System）への対応を早くから導入したことで知られています。これにより、多言語環境での利用が容易になりました。tcshの「t」は、TENEXおよびTOPS-20という初期のコンピュータシステムに由来するとされています。

環境

tcshは、FreeBSD 4.1-RELEASE以降では標準シェルとして組み込まれています。また、FreeBSDの流れを汲むmacOSにおいても、かつては標準で利用されていました。具体的には、Mac OS X v10.2まではtcshがデフォルトのシェルとして採用されていましたが、v10.3からはLinuxの標準シェルであるBashがデフォルトとなり、さらに2019年10月のmacOS Catalina以降はzshがデフォルトシェルとなりました。しかし、現在でも/bin/tcshとしてtcshはmacOSに組み込まれています。

Native Language System（NLS）

tcshのバージョン6.06以降では、NLS（Native Language System）カタログに対応しています。NLSカタログとは、プログラムのメッセージを各国の言語に翻訳するための仕組みで、プログラム本体を修正することなくメッセージの言語を切り替えることができます。tcshでは、このNLSカタログを利用することで、ユーザーインターフェースの多言語化を容易に実現しています。

ただし、日本語化においては、初期のバージョン6.07.11まではパッチが必要でした。その後、6.07.11でパッチが本体に取り込まれ、それ以降は日本語のカタログファイルを使用する場合でもパッチなしで日本語メッセージを表示できるようになりました。

興味深いことに、この日本語化パッチの提供者は、当時サンソフトの格闘ゲーム『ギャラクシーファイト ユニバーサル・ウォーリアーズ』の登場キャラクターであるルーミに魅せられており、ルーミの口調を模倣したカタログファイルを正しく扱えるようにするためにこのパッチを作成したと言われています。このルーミの口調を模倣したカタログファイルをはじめ、マルチやホシノ・ルリといった、いくつかの萌え系キャラクターの口調を再現したカタログファイルが、過去にFreeBSD portsコレクションに含まれていたことがあります。

また、関西弁や土佐弁など、地域の方言でメッセージが表示されるカタログファイルも作成されており、多種多様なカタログファイルが存在しています。

外部リンク

公式サイト
Manpage
FreeBSD 日本語マニュアル
tcsh(1) – JM Project Linux User Commands マニュアル

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