Tears cyclone -廻-

tears cyclone -廻-

アルバム概要

KOTOKOにとって約5年ぶりとなるオリジナルアルバム『tears cyclone -廻-』は、2018年 6月27日にNBCユニバーサルより発売されました。これは、KOTOKOがNBCユニバーサルに復帰して初めてのメジャー流通CD作品であり、彼女のメジャーデビュー15周年を記念した2部作アルバム『tears cyclone』の第一弾として位置づけられています。

本作のコンセプトは「原点 “廻” 帰」と銘打たれており、かつてKOTOKOが所属していた音楽制作チームI'veの代表クリエイターである高瀬一矢との完全コラボレーションが実現しました。このタッグは、NBCユニバーサルのプロデューサーからの提案がきっかけだったとされています。「原点回帰」には、NBCユニバーサルからのリリース再開という意味に加え、I'veの高瀬氏との再共演という意味合いが込められています。さらに、輪廻転生に関連した哲学的思想もテーマに含まれており、単なる音楽的なルーツへの回帰に留まらない、深遠な意味合いを持つ作品となっています。

収録曲と制作背景

アルバムには、KOTOKO自身と高瀬一矢の共作による書き下ろし新曲10曲に加え、既に発表されていたタイアップ楽曲やセルフカバーが収録されています。

先行タイアップ曲として、PCゲーム『BALDR HEART』のオープニングテーマである「Sign of suspicion」が収められています。また、Rayに提供したテレビアニメ『蒼の彼方のフォーリズム』のエンディングテーマ「a-gain」は、KOTOKO自身による新たな解釈のセルフカバーバージョンが収録されました。

各楽曲には、KOTOKOの独自の視点や経験に基づいたテーマが込められています。

「nonfiction ～悪魔の棲む惑星～」は、当初予定されていたオープニング曲を変更して1曲目に置かれました。KOTOKOはこの曲を聴いた時にアルバムの始まりにふさわしいと感じ、歌詞に物語性を込めたと言います。人間の内面に潜む悪魔性や、誕生から始まる人生の物語を描いており、アルバム全体の導入として重要な役割を果たしています。彼女は、この曲で始まる「悪魔」の物語がアルバムの半分まで続くと語っています。
「夏恋」は、自身の楽曲「LOVE A RIDDLE」のコード進行を参考に制作された楽曲です。
「ミュゲの花束を、君へ」は、ウェディングソングとして想定して書かれた温かいメッセージを持つ楽曲となっています。
「dusty days」は、アルバムの中で珍しいロックテイストの楽曲で、KOTOKO自身は「青春ソング」と表現しています。デジタルサウンドを中心にまとめる構想もありましたが、かつてOuter名義で行っていたパンク系の音楽経験を反映させたいという思いから、現在の形になったとのことです。
* 表題曲である「廻-Ro-tation」は、アルバム全体のテーマや内容を歌う楽曲として制作されました。KOTOKOは、人生における心の軌跡や、人と人との関わりの中で避けて通れない「涙」をテーマに掲げ、「人は生きていく中で回路を廻（めぐ）っていく」という意味を込めたと述べています。この楽曲のテーマは、アルバムタイトルにも深く繋がっています。

アルバムの表題曲「廻-Ro-tation」についてはミュージック・ビデオが制作されましたが、アルバム本体のディスクには収録されていません。『KOTOKO LIVE TOUR 2018 [tears cyclone-廻-]』のライブグッズとして販売されたパンフレットに付属するディスクに収録されるという形式が取られました。

特典情報

本作の早期購入特典として、特定の店舗で購入した際に、Rayの楽曲「sign」を元I'veクリエイターの中沢伴行がリミックスした「sign -KOTOKO ver.-」を収録した特典CDが先着順で付属しました。

チャート成績と評価

『tears cyclone -廻-』は、2018年 7月9日付のオリコン週間アルバムチャートにおいて、初登場29位を記録しました。発売初週の売上枚数は3,037枚でした。

音楽出版社の雑誌『CDジャーナル』による批評では、「高速ダンス・ビートが弾けるトラックの上を跳ねるように歌うヴォーカルが心地いい」と評されており、KOTOKOらしいアップテンポで勢いのある楽曲と彼女のボーカルスタイルが高く評価されました。

まとめ

約5年ぶりとなるオリジナルアルバムとして、そしてメジャーデビュー15周年という節目にリリースされた本作は、KOTOKOの音楽的なルーツであるI'veの高瀬一矢とのタッグによって、「原点回帰」を掲げつつも、楽曲一つ一つに深いメッセージや物語が込められた作品です。チャート成績は控えめではありましたが、音楽メディアからはそのスタイルを高く評価されており、ファンにとっては待望の、そしてアーティスト自身のキャリアにおいても重要な位置を占める一枚と言えるでしょう。

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