The Choice Is Yours

The Choice Is Yours (RHYMESTER)

「The Choice Is Yours」（ザ・チョイス・イズ・ユアーズ）は、日本の著名なヒップホップグループ、RHYMESTERによって発表されたメジャー通算12作目のシングル作品です。2012年8月22日にキューンレコードよりリリースされ、このシングルがソニー・ミュージックエンタテインメントからの発表としては最後となりました。

先行するシングルから約1年9ヶ月の期間を経て届けられた本作には、「音楽の可能性を信じるモノたちへ　これが混迷の時代を切り開く新しいアンセム！」という力強いキャッチコピーが掲げられています。楽曲制作にあたっては、Mark Capanniによる「I Believe In Miracles」がサンプリングソースとして活用されています。

プロデューサーには、高い評価を得るIllicit Tsuboi氏（キエるマキュウ）が迎えられました。メンバーのMummy-D氏は、Tsuboi氏を起用した理由について具体的に説明しています。彼らは、続くアルバム『ダーティーサイエンス』において、ヒップホップ本来が持つ荒々しさや、いわば「ラグドで汚い感じ」といった要素を前面に出すことを目指しており、それは当時の音楽シーンの流れとは逆行するかもしれない、人気が出ない可能性も考慮した上での純粋なヒップホップ探求という結論に至った際、最初に名前が挙がったのがTsuboi氏であったと述べています。Mummy-D氏はまた、Tsuboi氏の音楽性を「ローファイな立ち位置」にあり、「静かで安定していながらもどこか狂気を孕んでいる」と表現。ヒップホップの根底にあるユニークさ、あるいは「おかしい」部分を深く理解しているため、安心して制作を任せることができ、計算され尽くした上で偶発的な「事故」、すなわち予想外の革新性を意図的に生み出せる稀有な存在であると評しています。

楽曲のタイトル「The Choice Is Yours」の発想は、2011年7月に発表された前作シングル『フラッシュバック、夏。』の制作を終えた直後、未だ東日本大震災後の社会的な混乱や不安が色濃く残る時期に生まれました。当初、歌詞のテーマは原子力発電問題に焦点を当て、「脱原発か、推進か、あなたならどちらを選択する？」といった問いかけを中心に据える予定だったといいます。しかし、その後の社会情勢を注意深く見つめる中で、問題の本質が単一の事柄に限定されるものではないと気づき、原発問題に限らず、これまで自分たちが目を背けて放置してきた様々な問題に対する責任を痛感したと語っています。このまま現状を放置すれば、再び同様の困難が起こりうるという危機感から、楽曲のメッセージをより広範な視点から物事を捉える包括的な内容へと変化させていった経緯が明かされています。メンバーの宇多丸氏は、本楽曲を「単に災害や事故そのものを描いた歌ではなく、そうした出来事を経て人々の心の内面に生じる複雑な病理や精神的な状態を歌にした作品である」と解説しています。

本作は、CDのみの期間限定盤と、ミュージックビデオを収録したDVDが付属するCD＋DVD仕様の通常盤の2形態でリリースされました。CDに収録されている内容は以下の通りです。

The Choice Is Yours [4:27]
作詞：Mummy-D, 宇多丸, Mark Capanni, Bobby Taylor
作曲：Mummy-D, Illicit Tsuboi, Mark Capanni, Bobby Taylor
NHK Eテレの番組「あしたをつかめ〜しごともくらしも〜」のテーマソングとして使用されました。
The Choice Is Yours (Instrumental) [4:27]
The Choice Is Yours (Acapella) [3:15]

通常盤に付属するDVDには、「The Choice Is Yours」のミュージックビデオが収められています。

この楽曲は、単なる社会問題の提起に留まらず、その問題が人々の心にどのような影響を与えるのか、そして私たちが直面する様々な選択肢に対してどのように向き合うべきか、という普遍的な問いを投げかける、RHYMESTERらしい深みを持った作品と言えるでしょう。

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