The ISME Journal

ISME Journal：微生物生態学分野を牽引する国際学術誌

ISME Journal：Multidisciplinary Journal of Microbial Ecologyは、国際微生物生態学会（International Society for Microbial Ecology, ISME）が公式に認定する、微生物生態学に関する主要な学術雑誌です。地球上の多様な環境における微生物の生態や、他の生命、あるいは環境との複雑な相互作用に焦点を当てた、先駆的な研究成果を世界に向けて発信しています。

本誌の対象とする研究領域は極めて広範であり、生命の多様性を反映して、細菌、古細菌、真核微生物、そしてウイルスといった、系統学的に多岐にわたる微生物が含まれます。研究内容は、これらの微生物が特定の環境でどのように生存し、群集を形成し、機能を発揮するのか、といった基礎的な生態学から、環境問題や産業応用に関連する応用的な側面まで、微生物生態学のあらゆる角度をカバーしています。特に、異分野間の知見を融合させた学際的な研究を積極的に取り上げています。

ISME Journalに掲載される全ての記事は、専門家による厳格な査読プロセスを経ています。これにより、掲載される情報の科学的な正確性と信頼性が保証されています。主に掲載されるのは、独自に行われた研究の成果を詳細に報告する独創的な研究論文、特定の研究分野における最新の動向や蓄積された知見を体系的にまとめるレビュー論文、そして、科学的な発見や議論について洞察を提供する解説記事などです。これらのコンテンツを通じて、本誌は微生物生態学の知識基盤を強化し、将来の研究の方向性を示唆する役割を果たしています。

本誌の発行は、ISMEに代わって、世界的に著名な学術出版社であるNature Publishing Groupが行っています。この協力体制により、高品質な編集基準が維持されるとともに、論文が国際的な研究コミュニティに広く、かつ効率的に届けられることが可能となっています。

ISME Journalは、その創刊当初から高い評価を得ています。創刊編集長は、この分野の発展に貢献したマーク・ベイリー氏とジョージ・コワルチュク氏が務めました。彼らのリーダーシップのもと、本誌は急速にその影響力を拡大し、微生物生態学研究における重要な情報交換の場としての地位を確立しました。

学術雑誌の影響力を測る指標の一つであるインパクトファクターにおいても、ISME Journalはその質の高さを証明しています。Journal Citation Reports（JCR）によれば、例えば2018年のインパクトファクターは9.493でした。これは、掲載された論文が他の研究者によって高い頻度で引用されていることを示し、本誌の科学的な影響力の大きさを反映しています。また、同年のJCR分野別ランキングでは、「エコロジー」分野（全164誌中）で第5位、「微生物学」分野（全133誌中）で第10位に位置づけられており、それぞれ関連する分野においてトップレベルのジャーナルであることが示されています。これらの順位は、本誌が単に微生物学の枠を超え、広範な生態学分野においても重要な貢献をしていることを物語っています。

結論として、ISME Journalは、微生物生態学研究の最前線を伝える不可欠なツールであり、その高い質と影響力によって、このダイナミックな分野の発展に継続的に貢献しています。世界中の研究者にとって、最新の研究成果を確認し、自身の研究を発信する上で、中心的な存在であり続けています。

もう一度検索