The Backrooms

The Backroomsとは

The Backrooms（バックルーム）は、2019年に4chanに投稿された一枚の画像から生まれたインターネット発の都市伝説、いわゆる「クリーピーパスタ」です。特徴的なのは、どこか不気味で、無限に続くかのような空間を描写している点です。特に、人がいるはずなのに誰もいない、不自然なほど閑散としたオフィスや商業施設などのリミナルスペース（境界空間）のイメージと結びついており、独特の不安感を煽るとして人気を集めています。

起源

その起源は、2019年5月12日に4chanの超常現象を扱う掲示板に投稿された一枚の画像に遡ります。投稿者は、不穏な雰囲気を持つ画像を募集し、その際に黄色い壁紙、蛍光灯、そして奇妙なカーペットが敷かれた部屋の画像を添付しました。この画像自体は、2018年4月12日に投稿されたものが元になっています。

翌日、匿名のユーザーがこの画像に「The Backrooms」という名前を与え、説明文を添えました。この投稿がThe Backroomsの原型となり、多くの創作に影響を与えたとされています。その説明文は、現実世界で「ノークリッピング」状態になった際に迷い込んでしまう、無限に続くオフィスのような空間であるという内容でした。

なお、2024年5月には、この画像の起源が、2003年にオシュコシュにあるHobbyTown USAの店舗が、家具店の居抜き物件を購入して改装している様子を撮影した画像であることが判明しました。

発展とファンダム

The Backroomsは、そのコンセプトの面白さから、インターネット上で急速に拡散しました。Redditなどのプラットフォームでは、The Backroomsを舞台にしたショートストーリーが多数投稿され、ファンたちは独自のフロアやそこに棲む怪物などを創作し、世界観を拡張していきました。

多様な解釈とコミュニティの分裂

The Backroomsには明確な正典（公式設定）が存在しないため、様々な解釈が存在します。ある者は、オリジナルの画像が持つ孤独感や恐怖感を重視し、新たなフロアや怪物の追加を好みません。一方、積極的に世界観を拡張しようとする者もいます。そのため、コミュニティ内では、「オリジナル主義者」と「拡張主義者」の間で意見の対立も見られます。

メディア展開

The Backroomsは、ゲーム、映像作品など、様々なメディアにも展開されています。特に、ケイン・パーソンズ氏がYouTubeで公開している短編ホラーシリーズは、The Backroomsを広く知らしめるきっかけとなりました。このシリーズは、1980年代にThe Backroomsへのポータルを開いて調査を行った組織ASYNCを物語に組み込み、多くのファンを魅了しています。また、A24がケイン・パーソンズ氏の短編を元にした映画化を進めていることも発表されています。

ゲーム

The Backroomsをテーマにしたゲームも多数制作されています。Steam、Roblox、Minecraftなどのプラットフォームで公開されており、それぞれが独自の解釈に基づいた世界観を提供しています。

The Backroomsの魅力

The Backroomsの魅力は、その曖昧さと、想像力を掻き立てる点にあると言えるでしょう。明確な正典が存在しないからこそ、誰もが自由に解釈し、創作に参加することができます。また、日常的な空間が持つ不気味さや、どこか懐かしいような感覚が、人々の心を捉えているのかもしれません。

リミナルスペースとの関連性

The Backroomsは、リミナルスペースという美的感覚の一つの例としても知られています。リミナルスペースとは、本来の目的から外れ、変容した空間のことです。The Backroomsの人気は、リミナルスペースという概念への関心を高める一因にもなっています。

他のクリーピーパスタとの違い

The Backroomsが他のクリーピーパスタと異なるのは、明確な脅威や恐怖の対象が存在しない点です。むしろ、想像力を刺激し、じわじわと不安感を煽るような、心理的な恐怖に重点が置かれています。

まとめ

The Backroomsは、一枚の画像から生まれたインターネットミームでありながら、様々な解釈や創作を生み出し、独自の文化を形成しています。その魅力は、曖昧さ、想像力、そして日常に潜む不気味さにあると言えるでしょう。今後もThe Backroomsは、様々な形で進化を続け、私たちを魅了し続けることでしょう。

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