Tierra (アルバム)

アルバム『Tierra』について

L'Arc〜en〜Cielの2作目のスタジオアルバム『Tierra』は、1994年7月14日に発売されました。このアルバムは、彼らがメジャーデビューした後初めてリリースした作品で、前作『DUNE』から約1年3ヶ月ぶりのリリースとなります。アルバムには、メジャーデビューシングル「眠りによせて」を含む10曲が収められており、特に注目されているのは「Blurry Eyes」が本作発売から約3ヶ月後にシングルとしてもリリースされたという点です。本作のマスタリングは田中三一が行い、彼は他の多くの有名アーティストの作品実績も有しています。

アルバム制作の背景

『DUNE』の発表後、L'Arc〜en〜Cielは1993年から全国ツアー「Close by DUNE」を開始しました。このツアーはバンドにとって重要なターニングポイントとなり、ソニー・ミュージックとのメジャー契約を結ぶきっかけともなりました。メンバーはメジャーデビューすべきかどうか迷ったものの、バンド内の雰囲気や状況を考え、東京進出を決意しました。これは、引き続き大阪で続いたバンド間のトラブルから逃れるためでもありました。このような背景の中、L'Arc〜en〜CielはKi/oon Sony Recordsに移籍し、メジャーデビューへと向かっていったのです。

レコーディングと音楽性

アルバムの録音作業は1994年初頭から始まりました。当初、レコード会社はリリースの日程を設けなかったため、メンバーは自由な環境でクリエイティブな作業に没頭することができました。その結果、細部までこだわりを持って制作されたのが『Tierra』です。メンバーは各自異なるスタイルで曲を作り上げ、一体感のあるサウンドを生み出しました。例えば、同アルバムではメンバーがジャムセッションを通して曲の原型を作り上げることが多く、各メンバーの独自性が生きた作品が完成しました。

音楽性としては、1980年代のニュー・ウェイヴやポスト・パンクの影響が色濃く反映されています。バンドメンバーが好きだったバンドに、ザ・キュアーやザ・スミスなどがあり、特にこれらのバンドの影響を受けた楽曲が多く含まれています。また、本作ではボサノヴァやレゲエの要素を取り入れた新しい試みも見られ、従来のロックの枠を超えた多様な音楽スタイルが楽しめます。

歌詞とテーマ

歌詞に関しては、前作『DUNE』からの進化が見られ、リリックの内容がより深く、引き込まれるものであると言えます。作詞担当のhydeは、曲によって自己の感情を反映させつつ、視覚的な要素も取り入れた表現を追求しました。彼の歌詞には、感情や葛藤、深い思索が盛り込まれており、聴く人に強いメッセージを届けています。特に「瞳に映るもの」では、「思いは伝わらないかもしれないが、自分の感じていることを描写したい」といった気持ちが表れています。

ライブ活動と影響

アルバムリリース後、L'Arc〜en〜Cielは「ノスタルジーの予感」と名付けられた全国ツアーを行い、本作の曲を多数披露しました。このツアーはバンドの初期活動において重要なステップとなり、ファンとの距離を縮める役割を果たしました。また、ツアー中にはライブパフォーマンスの中で新しい音楽スタイルを模索し続けた結果、彼らの音楽性はさらに幅広いものとなりました。メジャーデビューによるプレッシャーにも関わらず、毎回新たな挑戦を続ける姿勢が、彼らの音楽の真髄を築いていったのです。

総評

アルバム『Tierra』は、L'Arc〜en〜Cielの音楽における重要な位置づけを持ち、彼らがメジャーシーンで生き残るための土台を築く作品となりました。多様な音楽スタイル、深いリリック、自身のアイデンティティを追求した強いメッセージが詰まった本アルバムは、今なお多くのファンに愛され、影響を与え続けています。

もう一度検索