ザ・スミス

ザ・スミス：80年代イギリスを代表するロックバンドの軌跡

ザ・スミスは、1982年にイギリスのマンチェスターで結成されたロックバンドです。活動期間はわずか5年ほどでしたが、イギリスの若者を中心に熱狂的な支持を集め、現代においても80年代イギリスを代表するバンドとして高い評価を受けています。その音楽性と歌詞世界は、後続のブリットポップやオルタナティブロックアーティストに大きな影響を与えたとされています。

メンバーと結成

バンドの中心メンバーは、ボーカルのモリッシーとギターのジョニー・マーです。モリッシーはライターとして活動する一方、ジョニー・マーはすでに複数のバンド経験を持つ実力派ギタリストでした。2人はマンチェスターで出会い、モリッシーの詩的な歌詞とマーのメロディアスなギターサウンドが融合することでザ・スミスは誕生しました。初期には、マイク・ジョイス（ドラム）、アンディ・ルーク（ベース）がメンバーに加わり、バンドの土台を築きました。後にクレイグ・ギャノンがベース、リズムギターとして一時的に加入する時期もありました。

バンド名の由来

バンド名の「ザ・スミス」は、最もありふれた名字であることから選ばれたとされています。これは、モリッシーが当時、世界中の普通の人々が注目を集めるべきだと考えていたことを反映しています。

デビューと初期の成功

1983年、ザ・スミスはインディーズレーベル「ラフ・トレード」と契約し、デビューシングル「ハンド・イン・グローヴ」をリリースします。その後リリースされたシングル「ジス・チャーミング・マン」や「ホワット・ディファレンス・ダズ・イット・メイク?」はチャートで上位にランクインし、バンドは注目を集め始めました。わずか3枚のシングルとライブ活動だけで、NME誌の読者投票で最優秀新人賞を受賞するなど、その人気は急上昇しました。

アルバム『ザ・スミス』

1984年、待望のデビューアルバム『ザ・スミス』がリリースされ、UKチャートで2位を記録しました。このアルバムは、ザ・スミス独特のメランコリックな雰囲気と、文学やポップカルチャーへの言及が特徴的な作品です。アルバムリリース後には、モリッシーのアイドルであったサンディ・ショウが「ハンド・イン・グローヴ」をカバーするなど、注目を集めました。

アルバム『ミート・イズ・マーダー』

1985年にはセカンドアルバム『ミート・イズ・マーダー』がリリースされ、UKチャート1位を獲得。タイトルトラックの「ミート・イズ・マーダー」は菜食主義を訴えるものであり、アルバム全体を通して政治的なメッセージが強く打ち出されました。モリッシーの政治的な発言も増加し、話題を呼びました。

アルバム『ザ・クイーン・イズ・デッド』

1986年リリースのサードアルバム『ザ・クイーン・イズ・デッド』は、ザ・スミスの代表作の一つです。UKチャートでは最高2位を記録し、その後も数々の音楽誌で高い評価を受けています。このアルバム制作中には、メンバー間の緊張や契約問題、ツアーの激しさなど、バンドは様々な困難に直面しました。アンディ・ルークのヘロイン問題による一時脱退、そしてクレイグ・ギャノンの加入と脱退など、バンドは大きな変化を経験しました。

アルバム『ストレンジウェイズ、ヒア・ウイ・カム』と解散

最後のアルバムとなる『ストレンジウェイズ、ヒア・ウイ・カム』は1987年にリリースされました。このアルバムリリース前に、バンドは解散しました。解散の直接の原因は、モリッシーとジョニー・マー間の深刻な不和でした。音楽的な方向性の違いや、パーソナリティの衝突などが原因とされています。

解散後

解散後、メンバー間では、特に利益配分を巡り裁判沙汰が起こりました。モリッシーとマーは、バンドの再結成を常に否定しており、数々の再結成オファーを断り続けています。

ザ・スミスの音楽性と影響

ザ・スミスの音楽は、ジョニー・マーのギターを中心としたサウンドと、モリッシーの社会批判的な歌詞が特徴です。彼らの音楽は、当時の主流だった音楽とは一線を画しており、多くの若者たちの共感を呼びました。その独特な歌詞や音楽性は、後の多くのオルタナティブロックバンドに大きな影響を与えました。

まとめ

ザ・スミスは、短い活動期間にもかかわらず、イギリス音楽史に大きな足跡を残したバンドです。彼らの音楽は、時代を超えて聴き継がれ、現在も多くのファンを魅了し続けています。彼らが残した4枚のアルバムは、それぞれの個性と魅力にあふれ、彼らの音楽性と影響力の大きさを改めて感じさせてくれます。

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