Time for music

松たか子『Time for music』：大人の魅力が薫る、珠玉の音楽作品

2009年11月25日、松たか子の9枚目のオリジナルアルバム『Time for music』がリリースされました。前作『Cherish You』から2年半ぶりとなる本作は、「ナチュラルでオーガニックな大人のアルバム」をコンセプトに、ロサンゼルスで1年にわたる制作期間を経て完成しました。

全10曲を収録した本作は、松たか子自身の書き下ろし楽曲4曲に加え、英語詞によるカバー曲を5曲セレクト。さらに、松たか子の父である松本幸四郎（当時：市川染五郎）が1967年に発表し大ヒットした楽曲「野バラ咲く路」のカバーも収録されています。この選曲からも、アルバム全体を貫く洗練された大人の世界観が感じられます。

アルバムの編曲は、主にDavid Campbellが担当。彼の卓越したアレンジは、松たか子の繊細な歌声をより一層引き立て、楽曲に深みを与えています。また、佐橋佳幸も編曲に参加しており、彼の繊細かつ力強いアレンジは、楽曲に新たな魅力を加えています。

特に注目すべきは、オリジナル曲とカバー曲のバランスです。オリジナル曲は、松たか子の表現力の高さを存分に見せつけ、リスナーを魅了する力強さと、静けさの中に潜む深みを感じさせます。一方、カバー曲は、松たか子自身の解釈が加わることで、原曲とはまた違った魅力を引き出しており、彼女の音楽性と表現力の幅広さを示しています。

収録曲の中に、21stシングル「君となら」とそのカップリング曲、そしてNHK教育テレビアニメ「獣の奏者 エリン」のエンディングテーマ「きっと伝えて」が含まれている点も見逃せません。これらの楽曲は、既に多くのリスナーに親しまれており、アルバム全体の完成度を高める重要な要素となっています。

「LONG AGO // HALF A SIXPENCE」には、俳優の真田広之が参加。後に開催されたツアー「Takako Matsu Concert Tour 2010 "Time for music"」の大阪公演では、真田広之がスペシャルゲストとして登場し、この楽曲を披露しました。このコラボレーションは、アルバムにさらなる彩りを添えています。

『Time for music』は、初回生産限定盤（Blu-spec CD+DVD）と通常盤（CDのみ）の2形態でリリースされました。初回生産限定盤には、アルバム制作過程を追ったドキュメンタリー映像を収録したDVDとブックレットが同梱されており、ファンにとっては貴重なアイテムとなっています。

このアルバムは、松たか子の音楽性の高さと、表現力の豊かさを改めて示す、まさに集大成と言える作品です。彼女の歌声と、選曲、そしてアレンジの絶妙なバランスが、リスナーに深く感動を与えてくれるでしょう。

このアルバムを通して、松たか子のアーティストとしての成長と、音楽に対する揺るぎない情熱を感じ取ることができます。静寂と力強さが同居する、独特の世界観を持つ『Time for music』は、多くの音楽ファンにとって、長く愛される名盤となることでしょう。

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