Time to live

TTL（Time to Live）とは

TTL（Time to Live）は、コンピュータネットワークにおけるデータの寿命を管理する重要な概念です。データパケットやDNSレコードがネットワーク上で有効である期間や、経由できるホップ数（ルーターなどのネットワーク機器を通過する回数）の上限を指します。TTLは、ネットワークの安定性を保ち、不要なデータの循環を防ぐために不可欠な役割を果たします。

IPパケットにおけるTTL

IPパケットでは、TTLはパケットヘッダー内の8ビットフィールドで表現されます。これはパケットがネットワーク上を循環できる時間の上限を示し、パケットが通過するルーターごとに値が1ずつ減算されます。TTLが0になると、パケットは破棄され、ICMPエラーメッセージが送信元に返されます。この仕組みによって、ルーティングエラーなどによってパケットが無限ループに陥ることを防ぎ、ネットワークの輻輳を避けることができます。

• - IPv4: TTLフィールドは、IPヘッダーの9番目のオクテットに位置しています。パケットの送信元が初期値を設定し、ルーターが減算します。理論上は秒単位で表されるべきですが、実際にはホップ数に基づいて減少します。
• - IPv6: IPv6では、TTLフィールドは「ホップリミット」と呼ばれ、同じくパケットの通過回数を制限します。

TTLのデフォルト値

TTLには、以下のような一般的なデフォルト値が存在します。これらの値は、パケットが到達できる範囲を表します。

• - 0: 同じホスト内でのみ有効
• - 1: 同じサブネット内でのみ有効
• - 32: 同じサイト内でのみ有効
• - 64: 同じ地域内でのみ有効
• - 128: 同じ大陸内でのみ有効
• - 255: 無制限

TTLの活用例

traceroute: `traceroute`（Windowsでは`tracert`）コマンドは、TTLのメカニズムを利用して、パケットが通過する経路を追跡します。送信時にTTLを1から順に増やしたパケットを送信することで、各ホップでの応答を得ることができます。

DNSレコードにおけるTTL

DNS（Domain Name System）レコードにもTTLの概念があります。DNSサーバーは、特定のリソースレコード（Aレコード、MXレコードなど）に対してTTLを設定します。

• - キャッシュ: 再帰的なDNSキャッシュサーバーは、権威DNSサーバーからレコードを取得する際に、TTLによって指定された時間（秒単位）の間、そのレコードをキャッシュします。これにより、同じレコードに対する問い合わせが繰り返された場合、キャッシュから応答を返すことができるため、DNSサーバーの負荷を軽減し、応答速度を向上させます。
• - 変更: DNSレコードが変更された場合、キャッシュされたレコードはTTLが満了するまで古い値を返し続ける可能性があります。そのため、DNS管理者は重要なサービスのアドレスを変更する際、事前にTTLを短く設定することで、変更が反映されるまでの時間を短縮します。

TTLの単位

DNSレコードにおけるTTLの単位は秒です。一般的なTTL値は、24時間（86400秒）などがあります。TTLが24時間の場合、DNSレコードの変更が世界中のDNSサーバーに反映されるまでに、最大24時間かかる可能性があることを意味します。

まとめ

TTLは、ネットワークの効率性と安定性を保つための重要なメカニズムです。IPパケットのルーティング制御やDNSレコードのキャッシュ管理において、TTLの概念は欠かせません。適切なTTL設定は、ネットワークのパフォーマンス向上に貢献します。

関連用語

• - ping
• - traceroute
• - ホップ

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