IPv6

IPv6 (インターネット プロトコル バージョン6)

IPv6（アイピーブイ6）は、インターネットプロトコルの一種で、OSI参照モデルではネットワーク層に位置する通信プロトコルです。主な目的は、IPv4の限界であるIPアドレスの枯渇問題を解決することで、使えるIPアドレスの数がIPv4の約43億からIPv6では340澗（約3.4×10の38乗）に増加しています。この膨大なアドレス数により、各デバイスが固有のアドレスを持つことが可能となり、特にIoT（モノのインターネット）の普及を支える基盤となっています。

発展の背景

IPv6の開発は1980年代から始まりました。当時のIPv4は、Class A、Class B、Class Cといった分類でIPアドレスが割り当てられており、インターネットの利用の広がりとともにアドレスが不足する懸念が高まりました。1990年代に入ると、国際化が進み、インターネットを利用する組織が増加したことで、Class BのIPアドレスの枯渇が現実のものとなりました。これに対応するために、1995年にIPv6として IPngが正式名称に変更され、そして1998年には最初の仕様が確定しました。

同時期には、短期的な対策としてNATやプライベートアドレスの導入が行われましたが、これらの手法は長期的な解決にはならないため、IPv6の普及が求められました。

IPv6の技術的特徴

IPアドレスの構造

IPv6は、128ビットのアドレスを持ち、このアドレスはネットワークIDとインターフェースIDの2つの部分に分かれています。この構造により、アドレスの一意性が簡単に管理できます。また、IPv6ではDHCPサーバを必要とせず、Router Advertisementを通じて自動的にアドレスが設定される「ステートレスアドレス自動設定」が使用されます。

アドレスの種類

IPv6には、ユニキャストアドレス（特定のインタフェースに付与）、マルチキャストアドレス（複数のノードに配信）、エニーキャストアドレス（近いノードの一つに送信）など、さまざまな種類があります。リンクローカルアドレスもあり、これは特定のネットワーク内でのみ有効です。

現在の普及状況

IPv6は依然として普及途上にあります。2020年には、全体のアクセス数に対するIPv6の割合は約30%に達し、日本では35%程度がIPv6接続に対応しています。ISPやルーターのIPv6対応は進んでいるものの、サービス提供側の対応が遅れているため、さらなる普及が期待されています。

IPv6とIPv4の共存

IPv4とIPv6は共存しながら運用されていますが、互換性がないため、デュアルスタックやトンネリング技術が活用されています。これにより、従来のIPv4網を通じてIPv6のパケットを伝送することが可能です。

IPv6導入のメリットとデメリット

メリット

• - アドレスの多さ: おおよそ340澗個ものアドレスを持つため、将来的な枯渇はほぼ心配ありません。
• - 直接接続: NATを使用せずに、全ノードがグローバルに接続可能です。
• - 自動設定: DHCP不要で、アドレスの自動設定が容易になります。

デメリット

• - 互換性: IPv4との互換性がなく、運用に際して新たな投資が必要です。
• - 普及率低: IPv6対応のISPやサービスが依然として少ないです。
• - 管理複雑性: アドレスの逆引き管理やプライバシーの問題が生じます。

将来の展望

インターネットの利用が進む中で、IPv6の導入は不可避であり、特にIoTの普及において重要な役割を果たすことが期待されています。今後は、各サービスのIPv6対応進展が普及を加速させるでしょう。

結論

IPv6はインターネットの未来を支える重要な技術であり、その普及は既に進行中です。技術の進化に伴い、IPv6の利点を活かした新たなサービスやアプリケーションの登場が期待されます。

もう一度検索