Trac

Trac（トラック）は、ソフトウェア開発プロジェクトにおける管理とバグ追跡を支援する、ウェブベースのオープンソースツールです。CVSTracの影響を受けて開発され、Edgewall Softwareによって保守されています。その特徴は、プロジェクト管理、バグ追跡、バージョン管理システムとの連携など、開発に必要な機能を一箇所で提供することです。

技術的な側面

TracはPythonで実装されており、初期の頃はGPL（GNU General Public License）で配布されていましたが、バージョン0.9以降は修正BSDライセンスで提供されています。このライセンス変更により、より柔軟な利用が可能になりました。Windows環境向けには、SVN（Subversion）とTracをまとめて簡単にセットアップできる「Trac Lightning」というパッケージも存在します。

主要な機能

Tracは、バグのデータベース、バージョン管理、ウィキ間のハイパーリンク情報を統合的に管理できます。Subversion、Git、Mercurial、Bazaarといった主要なバージョン管理システムへのウェブインターフェースを提供し、TestLinkのようなテスト管理システムとの連携も可能です。これにより、開発者はシームレスに作業を進めることができます。

現在のバージョン（0.11以降）では、フロントエンドにGenshiというテンプレートシステムを採用しており、以前のバージョン（0.10以前）で使われていたClearSilverから変更されています。これにより、より柔軟で高速な表示が可能になりました。

その他にも、以下のような豊富な機能が搭載されています。

プロジェクト管理: ロードマップ、マイルストーンなどを設定し、プロジェクトの進捗を視覚的に管理できます。
チケットシステム: バグトラッキングやタスク管理に利用できるチケットシステムを搭載。進捗状況や担当者を明確にできます。
きめこまやかなパーミッション設定: バージョン0.11以降では、ユーザーごとのアクセス権限を細かく設定できます。
最近の活動のタイムライン: プロジェクトの最新の変更履歴を一覧表示できます。
ウィキ: MoinMoinに似た文法で、プロジェクト関連情報を共有できるウィキ機能を提供。
カスタマイズ可能なレポート: 様々な条件でデータを抽出し、レポートを作成できます。
VCS Webインターフェース: バージョン管理システムをウェブブラウザから操作できます。
RSSフィード: プロジェクトの更新情報をRSSフィードで購読できます。
複数プロジェクトのサポート: 複数のプロジェクトを一つのTracインスタンスで管理できます。
iCalendarのエクスポート: マイルストーンやタスクをiCalendar形式でエクスポートできます。
複数リポジトリのサポート: バージョン0.12以降では、複数のリポジトリをサポートします。
インターフェースのローカリゼーション: バージョン0.12以降では、インターフェースのローカライズに対応しています。

まとめ

Tracは、ソフトウェア開発プロジェクトを効率的に進めるための強力なツールです。豊富な機能と柔軟なカスタマイズ性により、様々な開発現場で活用されています。オープンソースでありながら、非常に高い機能性と安定性を兼ね備えている点が魅力です。

関連項目

テスト管理システム
バージョン管理システム
バグ管理システム

外部リンク

公式ウェブサイト

Tracは、開発チームのコミュニケーションと情報共有を円滑にし、より質の高いソフトウェア開発を支援します。

もう一度検索