Trespasser (ゲーム)

ジュラシック・パーク トレスパーサー：イスラ・ソルナ島からの脱出

1998年、DreamWorks Interactiveによって開発され、エレクトロニック・アーツより発売されたファーストパーソン・シューティングゲーム（FPS）『Jurassic Park Trespasser』（ジュラシック・パーク トレスパーサー）。映画『ジュラシック・パーク』シリーズを題材とした本作は、サバイバルホラーゲーム的な要素も持ち合わせた、当時としては異色の作品として知られています。

物語：脱出への試練

舞台は、映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』から1年後。プレイヤーは、イスラ・ソルナ島上空で起きた飛行機墜落事故の唯一の生存者である女性、アンを操作します。武器もアイテムも持たずに海岸に打ち上げられたアンは、過酷な環境下で生き延び、島からの脱出を目指します。

ゲームは、アンの視点で進行。彼女の独り言や、ジュラシック・パークの設立者ジョン・ハモンドによる回顧録が、ゲームの進行に合わせた形で挿入され、物語に深みを与えています。ハモンドの回顧録では、パーク設立の経緯や、島に残された恐竜ハンターたちの運命などが語られ、ゲーム全体の背景をより深く理解することができます。

ゲーム性：拾い集めとサバイバル

ゲーム開始時は、アンは全くの無防備状態です。ステージを進める中で、木の棒や椅子、さらには拳銃や散弾銃といった武器を拾い集め、襲い来る恐竜たちと戦わなければなりません。アンの体力は、彼女の左胸にあるハート型のタトゥーで表現され、ダメージを受けるとタトゥーが赤く染まり、完全に赤くなるとゲームオーバーとなります。

ステージは8つのエリアで構成され、映画に登場した場所やアイテムも登場します。恐竜ハンターたちが使用した車両や、映画で描かれた海岸など、シリーズファンには懐かしい要素が散りばめられています。マップは当時としては非常に広大で、探索要素も豊富に盛り込まれています。

開発：Looking Glass Studiosからの挑戦

本作はLooking Glass StudiosのSeamus BlackleyとAustin Grossmanによって企画が開始されました。彼らは『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』公開前に、その成功を見越し、映画のライセンスを取得。Adobe Photoshopと3D Studio Maxなどを用い、DreamWorks Interactiveで2年以上の歳月をかけて開発されました。しかし、完成度の問題やバグの多さから、発売後には厳しい評価が下されました。GameSpotは「退屈なゲームプレイと迷惑なバグで満たされたイライラするゲーム」と酷評し、開発者自身も、時間不足による未完成のままの発売だったことを認めています。そのため、売上本数は5万本程度にとどまりました。

登場人物

アン（Anne）： ゲームの主人公。飛行機事故で島に漂着した女性。プレイヤーは、彼女の顔を見ることなく、常に一人称視点でゲームを進めます。
ジョン・ハモンド（John Hammond）： ジュラシック・パークの設立者。彼の回顧録がゲーム中に挿入されます。
その他の人物： ヘンリー・ウー、ロバート・マルドゥーン、デニス・ネドリー、ノーマン・アザートン、ラ・フォンテーヌ、ハロルド・グリーンウッド、インジェン社の恐竜ハンターたちなど、映画シリーズに登場した人物や架空の人物が、ゲーム内で言及されたり、登場したりします。

恐竜たち

ゲームには、ブラキオサウルス、ヴェロキラプトル、トリケラトプス、ステゴサウルス、ティラノサウルス、パラサウロロフスなど、映画でおなじみの恐竜たちが多数登場し、プレイヤーの前に立ちはだかります。

ステージ構成

ゲームは、イスラ・ソルナ島の以下の8つのエリアで構成されています。

ザ・ビーチ
ジャングル・ロード
ジャングル・キャニオン
ザ・タウン
ザ・ラボ
ザ・アセント（パートI）
ザ・アセント（パートII）
* ザ・サミット

各エリアはそれぞれ異なる地形や、登場する恐竜が異なり、プレイヤーは多様な環境を冒険することになります。

まとめ：評価とその後

『Jurassic Park Trespasser』は、革新的な試みと、その実現の困難さ、そして商業的な失敗という、複雑な歴史を持つゲームです。未完成な部分や、当時の技術的な限界が露呈している部分もありますが、映画の世界観を体験できる、ユニークな作品であることは間違いありません。今日では、その歴史や、開発秘話を含め、レトロゲームファンや、映画ファンから注目を集める作品となっています。

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