Tu-126 (航空機)

Tu-126: ソビエト連邦初の早期警戒機

Tu-126は、ツポレフ設計局によって開発されたソビエト連邦初の早期警戒機（AEW&C）です。NATOコードネーム「Moss」とも呼ばれるこの機体は、もともとTu-114を改設計したもので、1958年からその開発が始まりました。全体で9機が製造され、1984年には全機が退役しました。

開発経緯

冷戦が進行する中、ソ連はアメリカの核爆撃機に対抗するための防空態勢の構築が急務でした。広大なソ連の領土では、地上に設置されたレーダーだけでは十分な警戒体制を維持できなかったため、航空機に搭載するレーダーを活用するというアイデアが浮上しました。

最初はTu-95を基盤に開発することが検討されましたが、レーダーシステムを収容するには機体のサイズが不十分でした。そこで、サイズを拡大した旅客機型のTu-114が選ばれ、試作機は1962年1月23日に初飛行しました。その後、量産が指示されましたが、実際の生産開始は1965年にずれ込むこととなります。

機体の特徴

Tu-126は後退翼の設計を採用しており、4基のターボプロップエンジンを搭載しています。外観には窓がなく、空中給油のためのプローブを機首に装備しています。レーダーは大きなレドームに収められており、直径12mの円盤状の構造が特徴です。このレドームの内部には2次元レーダーの「リアーナ」が搭載されています。

「リアーナ」は1959年に設計され、P-30を基にしています。レドームは毎分10回転し、MiG-21クラスの戦闘機を100km、爆撃機を200〜300km、大型艦船は400kmの距離で探知可能でした。しかし、メタル製のプロペラがレーダー性能に悪影響を与える問題や、ルックダウン能力の欠如、目標の高低を測定できない問題などが指摘されました。

さらに、機体の安定性を保つために後部にはベントラルフィンが設けられ、合計21箇所にアンテナが搭載されています。

運用実績

Tu-126は初めてソビエト西部のシャウレイ基地に配備され、1965年から運用が開始されました。西側での確認は1968年のことでした。この機体は1971年には印パ戦争においてインド軍に貸し出されるなど、実戦にも参加した経験があります。また、Tu-126は電子妨害以外の攻撃能力を持たず、大型戦闘機Tu-128との連携が想定されていました。

この連携では、データリンクを通じてTu-128Pを自動で制御することが考えられていましたが、実際には音声誘導が主な運用方法となりました。性能的には第1世代の早期警戒機としては十分でしたが、ルックダウン能力がなく、また数が8機と限られていたために、広大な領土をカバーするには力不足でした。

1984年には後継機のベリエフA-50が導入されることとなり、全てのTu-126が退役し、その任務は新たな世代へと引き継がれました。

スペック

• - 全幅: 51.20m
• - 全長: 55.20m
• - 全高: 15.50m
• - エンジン: クズネツォフ NK-12MV ×4基
• - 最大離陸重量: 175,000kg
• - 最大速度: 約800km/h
• - 巡航速度: 約700km/h
• - 航続距離: 6,990km
• - 乗員: 24名

さらに、Tu-126は早期警戒機の歴史において重要な位置を占めており、その設計や運用は後の航空機に多くの影響を与えました。

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