Uマチック

Uマチック（U-matic）

Uマチックは、ソニーが開発したカセット式ビデオテープレコーダの一つで、家庭向けに初めてテープをカセットに収めた製品です。この商標名の由来は、テープのローディング形式が「U」の形に似ていることから来ていると言われています。テープ幅は19mm（3/4インチ）で、簡単に取り扱えるカセット方式により、多くの人々から注目を集めました。特に1970年代には、教育機関でも多く採用され、その利便性が評価されました。

概要

1969年10月29日、ソニーは「カラービデオプレーヤー」として試作機を公開しました。この機器は当時4分の3インチテープを使用しており、最大再生時間は1時間30分でした。ソニーは、この革新的な技術によって家庭で映画や演劇、テレビ番組をカラーで楽しめる未来を描き、「社会と家庭生活に一大変化が訪れる」と大々的にアピール。この発表を受けて、読売新聞は「もうすぐやって来る映画・演劇のカンヅメ時代」との見出しで報じました。

1970年3月には、ソニー、松下電器産業、そして日本ビクターの三社によりU規格が正式に確立されました。特に業務用の「BVシリーズ」は、カセット方式ならではの手軽さから報道現場における変革を促進し、その技術はビデオテープレコーダ（VTR）の進化に大きく寄与しました。

1971年10月10日、ソニーは「Uマチック」の名称で製品を発売開始しました。価格は、プレーヤーが23万8000円、レコーダーが35万8000円、60分テープが1万円、30分テープが5500円と、当時の芸能界でも多くの関係者が購入し、バッキンガム宮殿にも納入されたほどです。ソニー以外の他社もこのU規格のVTRを製造し、一般的に「UマチックVTR」と呼ばれるようになりました。

Uマチックの信号記録は、輝度信号をFM記録方式で処理し、色信号は低域変換による直接方式を採用。これは後に発表されたベータマックスの原型ともなる技術です。

このデバイスは、当初は一般家庭向けに設計されていましたが、小型軽量で扱いやすさが評価され、特にアメリカの主要なネットワーク局であるCBSが携帯型の開発を依頼し、ニュース収集システムで広く活用されることになりました。その結果、1975年頃から世界中でニュース取材用に普及し、映像報道に革命をもたらしました。

変遷

• - 1969年10月29日: ソニーがUマチックを発表。
• - 1970年3月: U規格の策定が完了。
• - 1971年10月: 初の民生用カセット式カラーVTRが登場。
• - 1972年3月: レコーダータイプが販売開始。
• - 1976年6月: 業務用のBVシリーズが発売。
• - 2000年6月: VTRの生産が終了。

製品例

再生機や録再機の数例を以下に示します。

• - 再生機: VP-1100、VP-7020、BVU-900、BVU-920（DT付）
• - 録再機: VO-1700、VO-5800、VO-5850、BVU-800、BVU-950（SP対応）

Uマチックにより録画された初期の番組は、貴重な映像資料として現在も高く評価されています。例えば、1971年の「繭子ひとり」や「デビスカップ」、さらには「連想ゲーム」や「国盗り物語」等、多くの文化的影響を及ぼした作品がUマチックによって保存されています。これによって、特に1970年代の日本のテレビ文化を振り返る重要な資料となっています。

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