U規格

U規格（ユーきかく）とは

U規格は、世界初の家庭用カセット式ビデオテープレコーダー（VTR）の規格で、1969年にソニー、松下電器産業、日本ビクターが発表しました。この規格は、1971年にソニーが「Uマチック」という名称で市場に登場しました。その後、松下は「Uビジョン」、ビクターは「U-VCR」という製品を投入しましたが、ソニーの製品が特に有名なため、他社の製品も「Uマチック」と呼ばれることが多くありました。

カセット方式の採用

従来のVTRはオープンリール方式が主流でしたが、U規格では家庭用の利便性を重視し、19mm（3/4インチ）テープを使ったカセット方式を採用しました。この設計は、手軽に使用できるよう工夫され、記録方式にはヘリカルスキャンが用いられました。名称の「U」は、そのローディング形状がUの字に似ていることから由来しています。一般には「シブサン」（3/4インチに基づく呼称）とも呼ばれていました。

民生用と業務用の普及

U規格は民生用として発売され、落語などのパッケージソフトも登場しましたが、高価だったため一般家庭には広がりませんでした。その後、ソニーのBetamax規格やビクターのVHS規格が登場することで、一般家庭へのVTR普及が始まります。しかし、U規格のビデオデッキは業務用として学校や企業の研修施設で引き続き利用され、特にマニア層には人気がありました。

放送業務への貢献

ポータブル型Uマチックが登場すると、小型のビデオカメラとともに放送業務で活用され、従来のフィルム取材に代わり電子ニュース取材（ENG）方式が普及しました。日本国内では当初、フィルム取材が主流でしたが、アメリカでは即時性が求められ、3/4インチS（スモールカセット）の開発によりバッテリー駆動での操作が可能になりました。これが1974年以降、CBSやNBCなどでの大量採用に繋がり、日本でも同様のトレンドが見られるようになりました。

高画質化と後継フォーマットの開発

その後、ソニーではさらなる画質向上のためにハイバンド化したUマチックSPが開発されましたが、テープの大きさがカセットの大きさに影響したため、カムコーダーの開発には至りませんでした。1980年代に入ると、1/2インチテープを使用した新たな放送用フォーマットの開発が進み、1981年には松下からM規格、1982年にはソニーからベータカムが登場しました。

最終的な生産終了

U規格は2000年6月に生産が終了し、31年にわたる歴史に幕を下ろしました。この期間におけるU規格の影響力は、VTR業界にとどまらず多くの分野に及び、特に業務用ビデオ機器のスタンダードとしての地位を確立しました。

PCM音声記録用途

また、1980年代には音声デジタル化が進み、PCMプロセッサーを使用した録音が行われるようになりました。ソニー・ミュージックエンタテインメントは2001年初頭までこの手法を多く採用し、アーカイブス再生用機材も整備されました。

諸元

• - 外形寸法：186mm×123mm×32mm
• - テープ幅：19mm（3/4インチ）
• - 走行速度：9.53cm/s
• - 収録時間：60分

このように、U規格はVTRの発展の一翼を担い、映像文化に大きな影響を与えました。

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