U-125御岳墜落事故

U-125御岳墜落事故

2016年4月6日、航空自衛隊のU-125点検機が鹿児島県鹿屋市の御岳山頂付近に墜落し、乗員6名全員が殉職するという痛ましい事故が発生しました。この事故は、航空自衛隊の飛行点検隊に所属するU-125（機体番号49-3043）が、鹿屋航空基地での飛行点検業務中に起こりました。

事故概要

• - 発生日時：2016年4月6日14時35分頃
• - 発生場所：鹿児島県鹿屋市、御岳山頂東側760m（鹿屋航空基地北約10km）
• - 事故機：航空自衛隊飛行点検隊（入間基地）所属のU-125点検機（49-3043号機）

事故当日、U-125は午前中に鹿屋基地での飛行点検を終え、午後に再度離陸。しかし、離陸直後にレーダーから機影が消え、無線通信も途絶しました。その後、捜索活動が行われ、4月8日までに乗員6名全員の遺体が収容されました。

事故の経緯

事故機は、午前8時49分に入間基地を離陸し、鹿屋基地での飛行点検業務を終えた後、12時6分に同基地に着陸しました。午後の点検のため、13時15分に再度離陸。14時30分頃、鹿屋TACAN局の検査を実施するため、滑走路西側から進入し、TACAN局から半径6NMを維持しつつ反時計回りに飛行していました。14時31分頃が最後の交信で、機体の異常は報告されていませんでした。しかし、14時35分頃、レーダーから機影が消え、通信も途絶しました。

事故機の機長は、飛行時間6000時間超のベテランパイロットで、航空自衛隊の展示飛行チーム「ブルーインパルス」の編隊長を務めた経験もありました。その他、副機長、機上無線員、機上整備員を含む計6名が搭乗していました。

捜索と回収

事故発生後、直ちに捜索活動が開始されました。海上自衛隊と航空自衛隊の航空機と隊員が捜索にあたりましたが、濃霧のため発見に至らず、翌4月7日の捜索で機体の残骸が発見されました。4月7日中に4名、翌8日に残りの2名の遺体が発見されました。機体の状況から、7日に発見された4名は機上無線員と整備員、8日に発見された2名は機長と副機長である可能性が高いとされました。

事故現場は、山の斜面が大きく抉られ、広範囲に機体の残骸が散乱しており、その凄惨さを物語っていました。

事故原因の解明

機体の回収作業は、熊本地震の影響で一時中断されましたが、7月29日に航空自衛隊は事故原因を発表しました。その内容は、機長が山岳高度を誤認し、副操縦士もそれに気付かなかったこと、悪天候下で対地接近警報装置が作動したにもかかわらず、回避が遅れたことなど、複数の要因が重なった複合的なヒューマンエラーであると結論付けられました。

この事故を教訓に、損耗機の代替機として選定されたサイテーション680Aには、対地接近警報装置が地図情報と連動し、不要な警報を抑制するアビオニクスが搭載されるなど、安全対策が強化されました。また、事故後、機長と副操縦士を除く4名に旭日単光章が追贈されました。

この事故は、航空自衛隊にとって大きな教訓となり、その後の安全対策強化に繋がりました。

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