U19型潜水艦

U19型潜水艦：ドイツ帝国海軍初のディーゼル潜水艦

U19型潜水艦は、ドイツ帝国海軍が1911年10月から建造を開始し、1913年6月に運用を開始した潜水艦です。U-19からU-22までの同型艦が存在します。ここでは、U-19を中心に解説します。

概要

それまでのUボートはガソリンエンジンを動力としていましたが、ガソリン動力には航続距離の短さ、気化による中毒や引火の危険性、排気煙の顕著さなど、多くの問題がありました。各国がディーゼル動力潜水艦の開発を進める中、ディーゼルエンジン発祥の地であるドイツで建造されたU19型潜水艦は、ドイツ海軍初のディーゼルエンジン搭載艦となりました。

その性能は期待以上で、燃料消費量の減少、信頼性と機動性の向上、エンジンのメンテナンス性の簡略化に貢献しました。この性能に満足した海軍は、U-41に至るまでその設計を踏襲しました。しかし、高速域でのトルク不足という欠点も存在し、12ノット以上で顕著になったため、1915年9月に改修が行われました。

艦歴

U-19の艦長は、1914年8月から1916年3月までコンスタンティン・コルベが務めました。その後、ライムント・ワイスバッハ大尉（U-20にてルシタニア号を沈めたヴァルター・シュヴァイガー中尉の元で水雷長を務めた人物）とジャン・カール技師長が後任となりました。

ワイスバッハとカールは、1916年4月20日に特殊な任務を遂行しました。それは、アイルランド独立運動「イースター蜂起」の際、活動家ロジャー・ケースメントと2人の同志を、偽装商船リバウでアイルランドへ送り届けるというものでした。しかし、連絡の不備（無線周波数帯の変更が伝わっていなかった）により、ケースメントらは上陸後すぐに逮捕されました。

U-19は29回の出撃で、合計101,789トンの船を沈めました。最大の戦果は、1918年にラスリン島近くで撃沈したイギリスの武装商船カルガリアン（17,515トン）でした。

その後

1918年11月19日、U-19はイギリスに降伏し、1919年から1920年にかけてブライスで解体されました。主砲はバンゴールの人々に寄贈され、現在も戦争記念館近くの公園に展示されています。これは、ユトランド沖海戦で活躍したエドワード・ベリー・スチュワート・ビンガム（ヴィクトリア十字章受章）の出身地であることに由来します。

U-19によって沈められた船

サンタマリア号（5,383トン、イギリス）
ティベリア（4,880トン、イギリス）
* カルガリアン（17,515トン、イギリス）

U19型潜水艦は、ドイツ海軍の潜水艦戦力発展に大きく貢献しただけでなく、その後の潜水艦設計にも影響を与えた重要な存在です。

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