UAC ターボトレイン

ターボトレインの概要

ターボトレインは、ユナイテッド・エアクラフトが設計・製造した高速列車であり、1968年から1982年にかけてカナダとアメリカで運行されました。この列車は、両端に機関車を配置し、その間に客車を挟むプッシュプル方式を採用しています。特筆すべきは、この機関車がガスタービンエンジンを使用しており、発電された電力で電動モーターを駆動する電気式ガスタービン機関車 (GTEL) として初の営業実績を持つモデルでもあります。さらに、ターボトレインは車体傾斜式車両の先駆けともいえる存在です。

車両の設計思想

ターボトレインの設計は、1950年代のチェサピーク・オハイオ鉄道に遡ります。この時期には、ガスタービンエンジンが使用される想定はなかったものの、高速運行に向けたさまざまな革新が模索されていました。ターボトレインは、客車に車体傾斜機構を導入し、特定のカーブを走行する際に車体が傾くことによって、安定した走行を実現しています。具体的には、各車両は特殊な吊り下げ機構により連結され、カーブでの傾斜を可能にしています。また、床の高さは通常よりも75cm低くされており、運行時の重心を下げることで安全性を確保しています。

製造と運行の歴史

ターボトレインの製造は、1966年にカナディアン・ナショナル鉄道からの依頼を受け、モントリオール・ロコモティブ・ワークスによって行われました。この時、最初は14両編成の計画でしたが、最終的には9両編成の3本が完成しました。初めての試運転は1968年12月に行われましたが、運転中の事故やブレーキシステムの凍結が影響し、大規模な営業運転は1973年にようやく実現しました。運行区間はトロントとモントリオール間で、定期的に運行されることとなり、その時期には驚異的な利用率を誇りました。

アメリカでも1968年からターボトレインの運行が始まり、ボストンとニューヨーク間を結びました。アメリカでは最高速度160km/hを記録し、1967年には北東回廊において275km/hという世界最高速度を達成しました。

ターボトレインの運行終了とその後

1976年にアムトラックでの運用が終了し、その後も譲渡提案があったものの、全車両が解体される運命を辿りました。また、2000年代初頭にはボンバルディア・トランスポーテーションが新型車両の試作を行いましたが、実現には至りませんでした。

ターボトレインは、高速交通機関としての先駆け的な存在であり、今でも多くの鉄道ファンに注目されています。時代を先取りしたその技術とデザインは、今後の鉄道技術における貴重な研究対象であり続けるでしょう。

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