UGPS 0722-05

UGPS 0722-05、別名UGPS J072227.51-054031.2またはUGPSJ0722-05は、地球から約9.6光年（誤差±1.3光年）の距離に位置する褐色矮星です。2010年にUKIDSS銀河面サーベイ（UGPS）によって発見され、フィリップ・ルーカスらの研究チームによって報告されました。年周視差の測定に基づき、太陽系から非常に近い距離にあることが判明しました。

この距離推定が正確であれば、UGPS 0722-05は、既知の褐色矮星としては最も太陽系に近い存在であり、惑星を除いた天体としても太陽から7番目に近い天体となります。ただし、この距離はまだ予備的な観測値に基づいているため、今後のより詳細な観測によって修正される可能性があります。

褐色矮星とは

褐色矮星は、恒星と惑星の中間的な性質を持つ天体です。恒星と同様にガス雲の収縮によって形成されますが、質量が小さいため、核融合反応を持続的に起こすことができません。そのため、「恒星になり損ねた星」とも呼ばれています。UGPS 0722-05も、この褐色矮星に分類されます。

特徴

UGPS 0722-05の発見当時、この天体は最も冷たく、暗い褐色矮星と考えられていました。表面温度は推定で400Kから500K（約130℃から230℃）の間であり、その光度は太陽の約380万分の1に過ぎません。放射エネルギーの大部分は可視光ではなく赤外線として放出されています。理論的な予測によれば、UGPS 0722-05の半径は木星に近い一方、質量は木星の5倍から30倍程度と推定されています。

これまでにも、UGPS 0722-05よりも高温で明るい褐色矮星が発見されていました。これらの天体はスペクトルからメタン褐色矮星と呼ばれ、スペクトル分類では「T型」に分類されています。UGPS 0722-05は、既知のT型褐色矮星の中でも最も暗いとされたT9型褐色矮星に似ていますが、詳細なスペクトルを比較すると違いが見られます。また、推定される光度もT9型よりも約3分の1程度しかありません。そのため、研究チームはUGPS 0722-05をT10型に分類するか、あるいは全く新しいスペクトル型を与えることを提案しています。

観測の結果、UGPS 0722-05には観測可能な伴星は見つかっておらず、孤立した褐色矮星と考えられています。この天体が恒星系で形成された後に放出されたのか、あるいは恒星のように星間ガスから直接形成されたのかは、まだ明らかになっていません。今後の観測によって、UGPS 0722-05の形成過程や特徴がより詳しく解明されることが期待されます。

UGPS 0722-05は、その特異な性質から褐色矮星の研究において重要な役割を果たすとともに、太陽系近傍の天体研究においても注目される存在です。

参考文献

UGPS 0722-05 - Wikipedia

関連項目

近い恒星の一覧

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