UHFテレビ放送

UHFテレビ放送

UHFテレビ放送とは、極超短波（Ultra High Frequency、UHF）と呼ばれる特定の周波数帯域を利用して行われる、地上波によるテレビジョン放送のことです。

周波数帯の特性

このUHF帯は、一般的なラジオ放送や、かつて広く利用されていたVHF（Very High Frequency）テレビ放送で使用される周波数帯よりも高い周波数に位置します。そのため、電波の性質がVHFとは異なります。

VHFとの比較

アナログ放送の時代には、VHFは比較的低いチャンネル番号（例：アメリカでは1～13チャンネル）に、UHFはそれより高いチャンネル番号（例：アメリカでは14～83チャンネル）に割り当てられるのが一般的でした。

電波の特性と利点・課題

UHF帯の電波には、以下のような特性があります。

利点

ノイズ耐性: VHF帯に比べて人工的な電気ノイズの影響を受けにくいため、比較的安定した信号伝送が可能です。
情報容量: 利用できる周波数帯域を広く確保しやすいため、より多くの情報を効率的に伝送するのに適しています。これにより、アナログ時代にはより鮮明な画質を実現し、デジタル時代には多チャンネル化や高精細化に対応しやすくなりました。

課題

障害物への弱さ: UHF帯の電波はVHF帯に比べて直進性が強いため、建物や山などの障害物があると電波が遮られやすく、電波の届きにくいエリアが発生しやすいという側面があります。

導入初期の状況

UHF放送が新たに開始された当初は、家庭に普及していた多くのテレビ受像機はVHF帯の受信にのみ対応していました。そのため、UHF放送を視聴するためには、別途UHFコンバーターと呼ばれる機器をテレビに接続するか、UHF受信機能を備えた新しいテレビを購入する必要がありました。これは、UHF放送の視聴環境整備において、初期の課題の一つとなりました。

日本における歴史

日本においては、テレビ放送の普及と多チャンネル化が進むにつれて、VHF帯の利用できるチャンネルが不足するという状況が生じました。これを解消するため、新たな放送帯域としてUHF帯の活用が進められることになります。

実験放送: NHKは、将来的なVHF帯の逼迫を見据え、1960年代からUHF帯を用いたテレビ放送の実験を開始し、技術的な実証を進めました。
* 民放第一局: 1968年には、岐阜県において岐阜放送（GBSテレビ）が、日本の民放としては初めてUHFテレビジョン放送を開始しました。これを皮切りに、全国各地で新たなUHF局が開局し、地方におけるテレビチャンネルの増加に貢献しました。

アナログ放送の終了とUHFへの集約

日本の地上波テレビ放送は、長らくアナログ方式で行われてきましたが、2003年からデジタル放送への移行が始まり、2011年7月24日をもって東北地方の一部を除きアナログ放送が終了しました。このアナログ停波に伴い、VHF帯でのテレビ放送は基本的に停止され、現在日本で行われている地上波デジタルテレビ放送は、主にUHF帯の周波数を利用して行われています。

このように、UHFテレビ放送は、技術的な進化と放送環境の変化を経て、日本の地上波テレビ放送の基盤として重要な役割を果たしています。

もう一度検索